第七章
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「これもいいわ」
「あっ、何かそれが一番いい感じじゃない」
「完璧だって書いてるわね」
春香は未祐のそのおみくじを覗いて言う。
「もう何でも適うって」
「ここまでよく書かれてるのってないんじゃないかしら」
「大吉だけはあるわね」
「それでもこれはないわよ」
良過ぎるというのだ。幾ら大吉であろうとも。
それで言う未祐だった。そして。
とりあえずはそのおみくじを木の枝にくくった。それからだった。
自分もそうしてから友人もしたのを見届けてからだ。春香が言ってきた。
「じゃあね」
「うん、お賽銭入れてよね」
「お参りしましょう」
「お願いが適う様にね」
「これで終わりだから」
といった話をしながら今度は二人で御守りも買っている。何だかんだで二人で初詣を一通り楽しんでいる。そうしながらのやり取りだった。
「だからね」
「うん。それじゃあね」
こうした話をしてだった。その二人で。
お賽銭箱の前に向かう。だがそこまでは人だかりで一杯だった。それは明治神宮や住吉大社と比べても遜色はないまでのものだった。
それでも何とか人ごみの中を通ってだ。賽銭箱の傍まで言って。
二人で百円玉を賽銭箱の中に文字通り投げ入れてからだ。お願いをしたのだった。
「望との仲が進展しますように」
「池田健一君と交際できますように」
二人共ついつい言葉に出してお願いをしてしまった。
「神様、お願いします」
「心から」
「いいよ」
未祐がこう言うとだった。いきなりだ。
彼女の横から声がしてきた。この状況にだ。
「それじゃあ交際しようか」
「えっ、その声はまさか」
「あけましておめでとう」
未祐が驚いているとだ。その横からだ。
また声がしてきた。春香は右にいる。声は左からだ。
その左からの声に顔を向けると。そこには。
未祐よりも二十三センチは背が高い黒髪のはっきりとした少年がいた。青のコートに白いズボンとマフラーという格好でそこにいる。
涼しげな顔立ちで微笑んでいる。その彼が言うのだ。
「まさかここで会うなんてね」
「池田君、どうしてここに」
「俺も参拝してたんだ。この神社でね」
「そうだったの」
「うん、それでなんだ」
今ここにいるというのだ。
「本当に偶然だけれどね」
「偶然って。こんな」
「まあとにかく。さっきのお願いのことだけれど」
呆然としたまま言う未祐にだ。健一はさらに続ける。春香もそんな二人のやり取りをどんぐりに似た目を点にさせて呆然となったまま見ている。
「俺と付き合いたいっていうけれど」
「本当にいいの?」
「俺でよかったら」
賽銭箱の横
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