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禁じられているからこそ
第一章
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た。神が煙草を認めているのかとドイツの主流のプロテスタントも非主流のカトリックも教会単位で議論をしてだ。
 そのうえでドイツ連邦議会でこの法案は通過しこの国では煙草を吸えなくなった、それで法案の発効までだ。
 アントンは家で憮然として煙草を吸っていた、そのうえで妻に言った。
「子供達はもう煙草を知らない世代になるか」
「ええ、大人になる頃はね」
 フレデリカは自分達が座っているテーブルで煙草を吸う夫に答えた、その煙草の煙を自分の手で払いながら。
「完全にね」
「このドイツでか」
「そうなるわ」
「やれやれだな」
 煙草を吸いつつだ、アントンは溜息混じりに言った。
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