第二章
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「そうしようぞ」
「是非な」
「王の後は」
彼等は国よりも領土だった、そこから考えていた。そうしてだった。
王の後は着々と考えられていた、しかしシャルルマーニュは懸命に動き続けていた、大柄な身体を常にそうさせていた。
国のあらゆる話をl聞いて断を下して隅から隅まで赴き続けた、彼はそのうえで言った。
「思えばローマはな」
「はい、古のあの国は」
「皇帝は一つの場所にいたな」
ここで言ったのはこのことだった。
「そうだったな」
「はい、出陣する時もありましたが」
「ローマやビザンチウムにいてです」
「そこから国を治めていました」
「そうしていました」
「あの国には仕組みがあった」
シャルルマーニュは遠い目になっていた、そのうえでの言葉だった。
「治めるな、しかしな」
「この国はですか」
「それがないと言われますか」
「ローマの様に国を治める仕組みが」
「それが」
「余は国を治められたが」
それは出来た、しかしというのだ。
「だかその仕組みは作られなかった」
「ローマの様なそれは」
「そうしたものは」
「それは東にある」
即ちビザンツ帝国にというのだ、彼等とは仲が悪いその国に。
「我等にはない」
「ローマ皇帝になられても」
「それでもですか」
「そうだ、余は帝冠は授けられた」
法皇からだ、その冠を授けられはした。
「しかしな」
「それでもですね」
「そうした意味でこの国はローマ帝国か」
「決してそうではない」
「そうなりますか」
「そうだ、この国は名前だけだ」
それに過ぎないというのだ。
「余だけしかいない、皇帝であってもな」
「治める仕組みがない」
「それがですね」
「だから王もですか」
「この様にですか」
「国のあらゆることを見て聞いているのだ」
そうして治めているというのだ。
「仕組みがないからな、作られなかったからな」
「治める仕組みがあれば」
「この様にはされなかった」
「そうなのですね」
「そうだ、そして余がこの世を去れば」
シャルルマーニュにもわかっていた、それからのことは。
「この国は一つでなくなる」
「分かれると」
「そうなるというのですか」
「余にはわかっている」
自分にはわからない様にだ、子達そして諸侯達がそうしていることがだ。シャルルマーニュにはわかっていたのだ。
「多くの者がそうしようとしている」
「そして、ですか」
「王に何かあえば」
廷臣達は今でも彼を王と言っていた、ローマ帝国皇帝であるが王としての彼に仕えているという意識が強いからだ。
「その時はですか」
「このローマ帝国は別れますか」
「そうなってしまいますか」
「治める仕組みがないのだ」
それ故にというのだ。
「服も
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