全ての球児たちのため
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プロ注目のエース牧村を相手に先取点を奪った東日本学園の猛攻は止まらなかった。
その後もヒットと四球を絡め初回四得点。牧村は初回をもたずにノックアウトされ、背番号12の投手がマウンドに上がり、なんとか一回の表を終了させた。
「いきなり下馬評をひっくり返す展開ね」
「びっくりしたニャ・・・」
「何度見ても、この衝撃は忘れられないわね・・・」
早々にマウントを奪い敵を殴り倒したチャレンジャー。その直後、今回初めて甲子園に上がるサウスポーが姿を現す。
「綺羅さんと言えば今プロで活躍している人やね」
「うん。この当時はMAX140kmのストレートとスライダー、カーブ、ツーシーム、縦スラと多彩な球種を用いて相手を抑えていました」
「一年夏から試合に出てはいたけど、甲子園では今回が初登板。立ち上がりがもっとも重要と言われてたけど・・・」
ノーワインドアップからの投球。球速はさっきの投手に比べれば遅いが、大きな変化のカーブ、鋭く横に滑るスライダーを駆使し初回を三者三振に切って取った。
「配球がアウトコース中心だったような・・・」
「綺羅さんは抜群のコントロールで外を中心に攻めていくわ。終盤からは内角も多く使うけど、何よりもあのコースに投げられ続けたら打者は手も足も出ないわね」
外への球の出し入れが優れている綺羅は力よりも技の投球を見せ、強力打線を翻弄する。その姿を穂乃果はまじまじと見ながら、首を傾げていた。
「どうしたの?穂乃果ちゃん」
「綺羅ってどこかで聞いたことあるような・・・」
「それはプロで活躍してるからでは?」
「いや、そうじゃなくて・・・」
うーんと悩ませていると、花陽がビシッと指を指す。
「よく気付きました!!この綺羅光さんはUTXで女子野球日本一になった綺羅ツバサさんのお兄さんなんです!!」
「それだ!!UTXだ!!」
穂乃果がこの部活動をやることになった大きなきっかけ。それは女子野球があることをテレビで知ったから。その際耳にした少女の兄が剛と同じ高校出身と知り、さらに興味が湧いてきた。
「そんなことより、次の攻撃も見物よ。東日本学園は九番の綺羅さんから。つまり剛さんにまた打順が回ってくるわ」
一打席目はセーフティだったため、その全貌はいまだベールに包まれている。
先頭の綺羅はポップフライでセカンドフライに倒れると、打席には初回にも見たこの男。
「今度はちゃんと打つんでしょうね?」
「またセーフティだったらつまんないニャ」
打席では平然と構えているが、次は何を仕掛けてくるのかてんで予想が付かない。
初球は警戒しすぎてか左投手の外に逃げていくスライダーが大きく外れボール。続いて内角へのストレートだが、剛は体を捻り交わして2ボール。
「ここは一球
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