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初詣
第四章
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「安心してね。それじゃあね」
「ええ。じゃあよね」
「行きましょう。神社にね」
 こうして二人で振袖姿で神社に向かった。神社の中は初詣の客と出店で賑わっていた。実境内の左右では出店が連なっている。その出店達を見てだ。
 未祐は早速動いた。そうしてだ。
 まずはお好み焼きにフランクフルト、焼きそばにいか焼きにたこ焼きを買って食べた。それから焼き鳥に唐揚げ、そしてクレープに綿菓子、林檎飴に水飴も忘れなかった。
 チョコバナナも食べながらだ。こう春香に言うのだった。
「これで目的の九割は達成したわね」
「出店のを食べることが九割なのね」
「そうじゃないの?初詣だと」
「幾分かはあるけれど極端でしょ」
 春香は歩いてたい焼きを食べながら横にいる未祐に話した。未祐はもう最後のチョコバナナを食べている。
「九割ってのは」
「じゃあお賽銭とかおみくじとかは」
「それと絵馬よね」
「そういうのは一割じゃない」
「一割じゃなくてメインでしょ」
 これが春香の返答だった。尚彼女も未祐と同じだけ色々なものを大量に食べている。その食べているものは未祐とかなり重なっていたりする。
「そっちが」
「そうなの」
「そうよ。全くあんたは」
「そもそも初詣自体が」
「はいはい、行きたくなかったのよね」
「今はよかったと思うけれど」
 何故そう思うかというとそれは。
「これだけのものが食べられたから」
「美味しいからなのね」
「美味しいのは正義だから」
 未祐独自の概念だ。まさに。
「だからね。今はね」
「私達正義だっていうのね」
「そう。正義のい中にいるのよ」
「だといいけれどね」
「だからこれで満足してるけれど」
「満足するにはまだ早いから」
 春香はとにかくこれで終わった、出店のものを食べてそれで終わろうとする未祐に言った。
「これからまだあるから」
「お願いして」
「お賽銭はあるわよね」
「ええ、それはね」
 あるとだ。未祐も答える。
「十円玉が」
「百円玉は?」
「それもあるけれど」
「それじゃあ奮発して百円でいこう」
「お参りに」
「そうしない?ここはね」
 言いながらだ。春香は自分の振袖の袖の下から赤い奇麗な財布を出した。そしてその財布の中から百円玉を一つ取り出してそれを見せてきた。
 そのうえでだ。こんなことも言ったのだった。
「私もそうするから」
「百円玉でお願いするの」
「願いはお賽銭の額でもないでしょうけれど」
「それでもなのね」
「奮発したらお願いが適うかも知れないじゃない」
「じゃあ私も」
 ここで健一の顔を思い出した。その彼の顔を。
「ここは百円
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