第二章
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「本当によかったわ」
「そうね。おめでとう」
「で、今度はよ」
あらためてだ。春香は未祐に告げた。それも真面目な顔で。
「今度はね」
「私だっていうのね」
「そう。未祐だって言えばいいのに」
「言おうにもね」
口ごもって困った顔になってだ。未祐は春香に述べる。小柄なのでその表情が春香から隠れる。だが春香には今の彼女の表情はよくわかった。
その彼女の言葉をだ。今聞くのだった。
「中々会えないし」
「同じクラスよね」
「部活も違うし」
「あの子空手部で部室は隣同士よね」
「あまり縁がないし」
「幼稚園の頃から一緒らしいわね」
春香はその都度未祐の言い訳を無効化していく。まるでイージス艦の様に。
それでだ。止めにこう言ったのである。
「だから。自分に素直になってよ」
「初詣で、っていうのね」
「お願いでもしてみたら?それに初詣だから」
未祐に鞭をやってからだ。今度は。
飴だった。少なくとも春香は鞭ばかりのロマノフ朝や飴どころか白米をふんだんに出していた大日本帝国の異民族統治よりわかっていた。
「出店一杯よ」
「出店・・・・・・」
「お好み焼きもあればね」
まずは未祐の大好物から話をはじめる。
「たこ焼きもあるわよ。焼きそばもね」
「そうよね。初詣の神社だから」
「そうよ。あるわ」
こう言ったのである。
「後はたい焼きに林檎飴に水飴、それにクレープね」
「そうしたのがあるのね」
「あるわ。フランクフルトもね」
もう一つだ。未祐の好物を出した。
「何でも一杯あるわよ」
「チョコバナナもね」
今度は自分からだ。未祐は自分の好物を出した。
「何でもあるわよね」
「あるわよ。じゃあどうするの?」
「寒いけれどそれは」
「使い捨てカイロあるわよ」
「厚着をすれば」
「いけるけれどどうするの?」
「わかったわ」
ここまで話をしてだ。ようやくだった。
未祐は頷いた。こうして彼女は初詣に行くことにした。
それで初詣に行こうとするとだ。ここでだった。
自分とそっくりそのままの外見の母にだ。こう言われたのだ。
「ちょっと待ちなさい」
「どうしたの?」
「その格好で初詣に行くの?」
「この格好でって」
青のジーンズに上は白のパーカー吐きの短いコートにマフラーだ。帽子に手袋もしている。冬の標準的な格好と言える。ジーンズの下にはストッキングもはいている。
その格好の未祐にだ。母は言ってきたのだ。
「あんた今元旦よ」
「元旦だからなの」
「そんな普通の格好で言ったら駄目でしょ」
「じゃあどういう格好ならいいのよ」
「振袖に決ま
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