巻ノ百一 錫杖の冴えその四
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「御主はそちらじゃな」
「この錫杖と法力、それに」
「忍術じゃな」
「そうなります、そして今は」
「錫杖じゃな」
「それを鍛えております」
後藤に教わってというのだ。
「そうしております」
「見事じゃ」
清海のその錫杖の術を見つつだ、後藤は言った。
「それでこそ真の豪傑じゃな」
「ただ強くなりたい為に修行するのではなくですか」
「主の為にとも思うことはな」
まさにというのだ。
「真の豪傑じゃ」
「左様ですか」
「まことにな、それでじゃが」
「錫杖の次はですな」
「また稽古の棒を振ってもらうが」
「しかしですな」
「その棒は御主には軽いであろう」
「実は」
その通りだとだ、清海は後藤に答えた。
「小さな木の枝の様で」
「やはりそうか」
「振り回していても足りぬ感じがしておりました」
「そうであろうな、しかしな」
「そこはですな」
「我慢してもらう、錫杖も振ってもらっておるが」
それと共にというのだ。
「御主にはそちらも振ってもらう」
「そうですか」
「そうじゃ、では次はな」
「棒の稽古ですな」
「それをするぞ」
「わかり申した」
清海は後藤に素直に頷いてそうしてだった、実際にそちらの稽古にも励んだがその振りを見て後藤はまた言った。
「うむ、その調子じゃ」
「腕がですか」
「また上がっておる」
「昨日に比べて」
「いや、一振りごとにじゃ」
その度にというのだ。
「よくなっておる」
「一振りごとにです」
「うむ、凄いものじゃ」
その一振りごとに強くなっていっていることがというのだ。
「こうした者はまずおらぬわ」
「それでは」
「免許皆伝も近い」
後藤は笑みを浮かべて言った。
「それもな」
「そうですか」
「そしてじゃが」
「はい」
「それからもな」
免許皆伝からもというのだ。
「励むのじゃ」
「わかっております、免許皆伝は終わりではなく」
「はじまりじゃ」
「むしろそうですな」
「だからじゃ、励むのじゃ」
免許皆伝を得てからもというのだ。
「そのことはくれぐれも頼む」
「免許皆伝で終わっては」
そうなればとだ、清海は幸村を見てから後藤に答えた。
「どうして殿のお力になれましょうか」
「だからじゃな」
「それからもです」
免許皆伝を授かってからもというのだ。
「他の者達と同じく」
「修行を続けてじゃな」
「より強くなり」
そしてというのだ。
「殿のお力になります」
「そうせよ、わしもじゃ」
かく言う後藤自身もというのだ。
「修行を続ける」
「そうされますか」
「そしてじゃ」
「さらに強くなられ」
「そのうえでな」
「戦の場で活躍されますか」
「時が来ればな」
まさにそ
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