歴史に名を刻む者
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ず、打ち合いになることが多くなってしまった高校野球。しかし、それは現在の高校野球を見直す上では良かったのかもしれないとの見方もあり、意見は様々だ。
「話を戻すわ。この試合は大方の予想だと山堂学園の方が圧倒的に格上ね」
「東日本学園は10年ぶりの甲子園、さらにはここに来てから佐藤さん一人で・・・しかも前日の準々決勝では延長13回まで戦っています」
「牧村をいかに打ち崩し、佐藤さんがどれだけ粘れるかが焦点になったこの試合ですが、東日本学園は試合前から早速仕掛けてきました」
整列が終え、出場メンバーが発表されるとバックスクリーンに両校の名前が映し出されているのが見える。そこで一時停止すると、東日本学園のオーダーに違和感を感じた。
「気付きましたか?東日本学園はエースで四番の佐藤さんをこの試合スタメンから外したんです」
「えぇ!?なんでぇ!?」
ここまで予選からすべての試合に出場していた佐藤を投手どころか野手としても外し、打順を繰り上げる形を取ったことに疑問を感じる穂乃果。その疑問をにこが語り出す。
「さっきも言った通り、佐藤さんはこの前日延長13回、159球の熱投だったわ。この年までは準決勝の前日に休養日がなくて、東日本学園は準々決勝から三連戦になる日程だったの。だからエースの佐藤さんを休ませる意味で外したのよ」
「でも、これじゃあ打力も下がっちゃうんじゃない?」
「確かに下がります。ですが、佐藤さんは守備が決してうまくありません」
「エラーをするリスクを払ってまで野手として残すのは得策じゃないと判断したのよ」
地区予選で彼はライトの守備でバンザイをしたらしく、強豪東日本学園で初めてバンザイをしたと衝撃を与えたらしく、監督も渋々ベンチに下げざるを得ない状態らしい。
「でも、この試合で先発の綺羅さんは中学時代日本代表として世界一に輝いていて、その時も剛さんバッテリーを組んでいました。投手としては佐藤さんに決して劣ることはありません」
「でも打線を変えたことで東日本学園は一点勝負の展開になるとみんな考えていたわ。ただ・・・」
整列、投球練習が終わり打席に入るバッター。
『一番、キャッチャー天王寺君』
左打席で投手に右腕を伸ばした後、バットを構えるかつての最強捕手。彼が果たしてどんな打撃を見せるのか、全員が食い入るように見つめる。
「東日本学園は毎年『攻めの野球』を行っています。ファーストストライクから積極的に打ちに行くことから、投手は容易にストライクを取りに行けず、かなり神経質になる傾向になります」
「でもこの山堂学園の牧村はすでにプロに通用するほど完成された投手。普段通りの戦い方では勝ち目は薄いと世間では言われていたわ」
牧村の球種は150kmを超えるストレート、フォーク、スライ
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