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異世界に転生したら、強くてニューゲームでした。(編集中)
お兄様
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は所々千切れ、砂埃にまみれている。

(こんなになってる…。治せるかな…?)

助け出したお父様の怪我は結構酷い。すぐに光魔法で応急処置をする。一息つくと、お父様は倒れるスィエルの近く、大きな瓦礫の山を指差して言った。

お父様「イ、イヴ……、あそこに……ダレンが、いるはずだから…ダレンを、…助けてやってくれ…」

息も絶え絶えに指差す先は、50mほど先、一番被害の大きい場所だ。周りにあっただろう建物は綺麗サッパリ消えてるし、美しいレンガで覆われていた地面はえぐれている。そこかしこに散らばる瓦礫で、そこまで歩くのも大変そうだった。

(お兄様が…あんな所に!?)

自分の中の、最大限の魔力を引き出す。胸の前で、 ボールを持つようにして手のひらを広げると、小さな竜巻が出来た。それを注意深く大きくし、コントロールしながら放つ。大きな竜巻は、その威力を発揮しながら進む。瓦礫だけを風で巻き上げ、離れた所でまとめられた。


ーー竜巻が通り過ぎたあと、そこにあったのはお兄様の形をしたものだった。医者の診断なんか要らない。僕でも分かる。

おそらく、瓦礫で全身を圧迫されていたはずだ。右腕と足は潰れ、血が広がっている。レンガ下の土が、真っ赤だった。深く染み込み、泥状化している。足を取られそうになった。
レイラが羨ましがっていたエルフ耳はちぎれ、苦しそうな顔をしたまま目を見開いていた。

「お兄様……」

意外にも僕は、お兄様の死を冷静に受け止めていた。心のどこかで、こうなっていることを分かっていたからかもしれない。でも…、分かっていても…。

涙が、ぽちゃんと赤い泥の中に消えた。そのまま、後から後から、涙は止まらない。

「……うぅ…ひっく、ひっく……おにいさまぁああ…」

僕の?を伝い、落ちた涙は、赤い泥の色を少しだけ薄めて水たまりを作る。

《ぽちゃん、ぽちゃん、ぽちゃん……》

《ぽちゃん、ぽちゃん、ぽちゃん……………》

心臓が、痛む。
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