三 瓦解
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ったサソリへの意趣返しに、サソリに小声で囁いた。
「『木ノ葉崩し』では砂も噛んでたみたいだし、ナル坊もそいつと接触したかもな、うん」
ピクリ、とサソリの曲がった背が若干盛り上がる。
「その上、旦那の罠に引っ掛からず、ここまで追いついてきたんだったら…坊も認めるほどの忍びだったのかねぇ……うん」
デイダラの言葉は単なる推測だ。『木ノ葉崩し』でナルトが関与した事柄は、一尾と九尾の争い真っ只中で、どさくさに紛れて二体捕縛出来ないかという算段によるものだ、と暁のメンバーは聞いている。事実は異なるが、『木ノ葉崩し』で砂隠れの里が大いに関わっている事は明らかだった。
「我愛羅は返してもらう」
風影を、そして自分の大事な弟を取り戻しにきたカンクロウ。
同じ傀儡師だと即座に悟ったサソリの後ろで、デイダラは、クッ、と口角を吊り上げた。
(傀儡を扱うなら、サソリの旦那の右に出る者はいねぇ…)
それに煽っただけあって、サソリはやる気十分だ。
含みのある笑みを浮かべ、デイダラは鳥の背に飛び乗った。
我愛羅を捕らえる巨大鳥が空へ舞い上がるのを阻止すべく、カンクロウは手を振るう。指に結わえたチャクラ糸が、ピィン、と張った。
「行かせるかっ!」
だがカンクロウの糸で繋がれた傀儡人形は、直後、動きを止められた。
眼の前に立ちはだかるサソリによって。
「…俺は人を待つのも待たすのも好きじゃねぇからな……それに、」
先へ行かせたデイダラを見もせず、サソリはカンクロウを睨み据えた。サソリから生えている、人間とは思えない、妙な尾が傀儡人形を捕らえている。
絡まれた傀儡人形が、カタカタ、音を立てた。
「坊に認められる傀儡師は、俺一人で十分だ」
忍びに加え、同じ傀儡の術を扱う者として、サソリは鋭い眼をより一層冷たく細める。
暁天に、鎌の如き尾が風を切った。
「―――すぐに終わらせる」
完全敗北だった。
地に伏せたカンクロウは、それを認めざるを得なかった。
痺れる全身。霞む視界。
毒が廻り始めている。
(ち…くしょう…)
追いついた相手との実力差は明白だった。黒地の赤い雲模様。会議で耳にしていた『暁』という組織の一員だとも、解っていた。
このまま命を落としたとしても、深追いし過ぎた自分のミスだ。自業自得だ。
(ちくしょう…ちくしょう…)
けれども、弟を攫った犯人をみすみす見逃すなど、カンクロウに堪えられるはずも無かった。
だって自分は……―――兄なのだから。
(…ちくしょう…ッ!)
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