三 瓦解
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に言われてしまった手前、今回奢る事が出来なかったのがテウチには少し不満だったらしい。
「おっしゃ――!オレってば千年後も絶対おっちゃんのラーメン食べに行くってばよ!!」
「おう、待ってるぜ!」
店主と教え子の会話を微笑ましげに眺めていたイルカは、ナルから落ち込んだ雰囲気が払拭されたのを見て取って、ほっと安堵する。
改めてラーメンを食べようと、ナルが椅子に座り直す。
その拍子に、ナルの手前の籠から、ゆで卵が転がり落ちた。謝るナルに、テウチは寛容な態度で応える。
「それより、その約束した友達、連れてこいよ。美味いラーメンご馳走するからな!」
「ありがと、だってばよ!オレの好物の味噌ラーメン、そいつも好きにさせてやるってばよ!」
「おう、その意気だ!」
テウチとの会話で盛り上がりつつも、欠けた殻から覗き見えた白が、何かの均衡を破ってしまったように思えて、ナルは聊か「でも…この卵、もったいないってばよ…」としょげた声をあげた。
ほんの小さな綻びから全体が崩壊してゆく、そういった妙な不安感が胸に押し寄せる。なんとなく胸騒ぎがした。
直後、沈んでいた気分を晴らすように、ナルはイルカに向き合った。
「そういえば、砂隠れの我愛羅は風影になったって聞いたってばよ!すっげぇよなぁ!!」
心から感心するナルに反して、イルカは苦笑しながら「…あの子はまた…別格だからな」と聊か含みのある言葉を返した。
その返答が気に入らなかったのか、ナルは顔を顰めて反論する。
自分達とは違う存在のような物言いが、大好きな先生の言葉と言えど、聞き捨てならなかった。
「別格って、なんだってばよ…それだけじゃ、風影にはなれねぇ」
自分と同じ人柱力で、里の人間から忌避されていた我愛羅。
彼が風影という頂点に上り詰めるのに、どれほど頑張ったのか、血の滲むような努力をしたのか。
「頑張って頑張って…皆に認められて―――アイツは『風影』になったんだ!」
他の一般人なら想像もつかないだろうが、ナルには手に取るようにわかった。
自分とよく似た相手だったから。
「オレもアイツのように、頑張って頑張って、もっともっと強くなって…――」
その言葉の先は、言うまでもなかった。
昔から変わらない教え子の夢に、イルカは眩しげに眼を細めた。店内に籠る湯気が眼に沁みた。
夜が明けた。
砂の水平線から顔を出す朝陽。旭日の輝く東の空を前に、サソリが立ち止まる。
「まさか…ついて来る奴がいるとはな…」
サソリの罠に引っ掛からなかったらしき砂忍に、デイダラは笠の陰で眼を眇める。
そして手土産を貰
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