第一章 ハジマリ
第30話 再戦VSザ・デッド――試合開始
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いつ等があの化身を……」
「ん……? おいおい。思い違えるなよ、人間。今はそんな事、問題じゃあねぇだろ」
予想だにしない出来事に困惑する一同に、化身を発現したマッドネスが呆れた様に声を上げる。
「俺がどんな化身を使おうが、そんなのアンタ等にはどうでも良い事。それより今重要なのは……テメェ等が俺のシュートを止められるかどうか。ただ、それだけだ!」
叫ぶマッドネスの声に反応する様に《人工化身プラズマシャドウ》はその体を電子の欠片に変化させ、彼の体に赤黒い電子の鎧として纏わりついた。
「化身アームドまで出来るのか……!」
「最初から化身ですか。相変わらず、堪え性がありませんね」
化身アームドと言う離れ業まで軽々とやって見せるマッドネスに、眉をひそめ呟いた天馬。裏腹にスキアはため息交じりに言葉を吐き出した。
化身の鎧を身に纏ったマッドネスはボールを蹴り上げ、自らもまた高く跳躍する。
三国がマッドネスとボールの軌道から目を離さず、腰を落として身構える。
雷門イレブンが期待を込めて三国を凝視する中、マッドネスは強力なボレーシュートを打ち込んだ。
空気を裂く程の回転が与えられたシュートが雷門ゴール――正確にはゴールキーパーである三国に襲い掛かる。
三国は咄嗟に必殺技の構えを取ろうとする。が、化身の力が与えられた超高速シュートはそれを許さず。三国の体ごと、ゴールへと突き刺さってしまった。
『ゴォールッ!! マッドネス選手の化身アームドシュートが先制点を決めたァ!!』
興奮気味に叫んだアルの声が、雷門ベンチに座っていたメンバーの鼓膜に突き刺さる。
他の控え選手と混ざって試合を見守っていたフェイは、悔しそうにスコアボードに記された0-1の文字を見詰めた。
「くそっ……!!」
「今のシュート、なんてパワーだ……っ」
悔しさのあまり握りしめた拳で地面を叩く三国の傍で、神童は呟いた。
ギリッと歯を食いしばり、シュートを止められなかった事に対して謝罪の言葉を並べた三国に、天馬は「大丈夫です!」と元気付けさせる様に笑って見せる。
「試合はまだまだこれからです!! 取られた分、俺達が取り返します!!」
「天馬……」
明るく真っすぐに言い放たれた言葉に、三国は自身の頬を一度強く叩くと「よしっ」と気合いを入れ、前を見据えた。
「…………取り返す……ですか」
ポジションに戻っていく天馬を見詰めながら、スキアはそう小さく呟いた。
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