暁 〜小説投稿サイト〜
色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第30話 再戦VSザ・デッド――試合開始
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力なエネルギーを確かに肌で感じながら、スキアは静かに笑みを零した。

「オスクロ。お願いします」

 そう、落ち着いた抑揚の少ない声音が聞こえた瞬間。倉間の放った必殺シュートの目前に、黒く長身な影が立ちふさがる。
 オスクロと呼ばれたその男は、尾羽の様に扇状に広がった髪を揺らすと猛進してくる倉間渾身のシュートを見据え、軽々と受け止めてみせた。

『倉間選手、渾身の必殺シュート《サイドワインダー》をオスクロ選手が見事にブロック! 雷門、得点ならず!!』

 声高々に叫ぶアルの言葉に「くそっ」と悔し気に拳を握る倉間。それを見て、受け止めたボールを器用に足先で操りながら、オスクロが囁く。

「今のが必殺シュート、ね…………なるほど。粗末な物だな……」
「なんだと……」

 嘲笑う様にして発せられた言葉に、剣城が険を含んで応じた。

「こんなぬるま湯プレイに負けたんだ、あの男。……さすが、"出来損ない"だ」
「……!」
「さっきから、何を言ってる!」

 オスクロの意味不明な言葉に、語気を強めて言い放つ神童。
 目や口と言った一切のパーツが無い彼の顔から表情を読み取る事は出来ないが、発する言葉や話し方から神童達、雷門イレブンのサッカーを馬鹿にしている事は一目で分かり、フィールドに立つメンバーの誰もが怒りの色を顔に浮かべていた。

「オスクロ。お喋りもそこまでにしましょう。クロト様に怒られてしまいます」
「了解……フォンセ!」

 静かな声でたしなめたスキアに返事をすると、オスクロは前方で待機するMFフォンセへとパスを出した。

「行かせない!」

 すかさずブロックに入った天馬はボールを奪取する為、必殺技の構えをとる。

「ボール、欲しいの……?」

 前方から迫ってくる天馬の姿を見つけると、フォンセは低く沈んだ声で囁き、あろう事か持っていたボールを敵である天馬に渡してしまった。

「え……」

 不意に渡されたボールを反射的に胸でトラップする天馬。
 目の前の男の行為の意味が分からず困惑した、瞬間。

「なーんちゃって」
「――――!」

 ズガァァッ!と言う衝撃音が天馬の鼓膜を揺らす。
 一瞬、自分の身に何が起きたのか分からなかった。が、直後に襲う激しい痛みに『自分の体がボール越しに蹴られた』のだと気が付く。

「ジャッジスルー! オラァッ!」
「うわああ!!」
「天馬!」

 自分の身に起きた出来事を理解するのと同時に、天馬はフォンセの激しい蹴りにより吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられる。その様子に傍にいた神童とアステリが声を上げた。

『なんと言う激しい攻撃だぁ!! フォンセ選手の激しい蹴りに吹き飛ばされた松風選手!! かなりのダメージの様ですが、大丈夫
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