最終章:夢を追い続けて
第56話「意味を遺したい」
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
陽動や反抗に人員を割いているため、男たちからはまだ目的を聞かされていない。
「......。」
交渉に長けてる訳でもない。元より前世ではコミュ障だった。
それでも、話すだけなら早々殺される事はないと踏み、口を開こうとして...。
「な、なんなの貴方達!?私にこんな事してタダで済むと思ってるのかしら!」
「(...刺激を与えるとか、俺でも馬鹿かと思うぞ。)」
気絶していた生徒の一人が、そんな声を上げながら喚き始めた。
「男風情が寄ってたかって...奴隷のような分際でこんな事を...!」
「(...気絶させられていた理由はこれか。というか、あいつユーリに似て....いや、似てるとか言ったら本人が可哀想だ。)」
そう。喚いているのはユリア・エーベルヴァイン。ユーリの“元”姉だ。
典型的な女尊男卑の思考に染まっており、この状況においてなお喚いていた。
「そうよ!後悔しても知らないわよ!」
「早く解放しなさい!」
「(...自分が人質になっているのになんだアレ...。それよりも以前までの俺の馬鹿さの焼き増しみたいだからマジでやめてくれ...。)」
本来なら犯人を刺激せずに大人しくしているべき。
それなのにユリアや同じように女尊男卑の思想の女生徒は口々に喚いていた。
「......。」
「っ....!」
男たちの内、何人かが合図を送り合い、内一人がその女生徒たちに近づく。
一夏はこの後何が起こるか想像してしまい、止めようと思いつつも体が硬直する。
自分にも見張りが付いていて、不用意な行動はできないからだ。
「な、なによ...!」
「...ふん。」
ガッ!
そして、男がユリアを思いっきり殴った。
「これ以上暴れんじゃねぇよクソ女共。ここで殺してもいいんだぞ?」
「ヒッ....!?」
倒れた所に、銃口をぐりぐりと押し当てながら男が言う。
さすがに死の恐怖を感じたのか、騒いでいた女生徒全員が黙る。
「やっぱり見せしめに一人ぐらい殺した方がいいんじゃねぇか?」
「そんな簡単に殺しちゃ意味ねぇだろうが。こいつらには俺達と同じように人間の尊厳を踏み躙ってやらないとな。」
「.....。」
騒いでいた女生徒を見下すように見ながら、二人の男がそんな会話をする。
それを一夏や、冷静に状況を見ている者はじっと聞く。
「(“見せしめ”、“俺達と同じように”...。)」
「(態々IS学園を襲撃し、生徒を敢えて殺さない所を見るに...。)」
「(なるほどな、女尊男卑で追いやられた連中って訳か...。)」
「(...これは、女性が無闇に交渉に応じる訳にはいかないですね
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ