第一章 ハジマリ
第29話 協力要請
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ていて、アステリはギリと奥歯を軋ませる。
「みんな! とにかく外に逃げるぞ!!」
混乱でどよめきだしたメンバー達にサッカー部監督である円堂が声を上げた。
どう考えても異常なこの光景に、身の危険を感じたメンバー達は円堂に誘導されるがまま、サッカー棟の外へと急ぐ。
だが……。
「なんだ……これは……」
サッカー棟の外へと出たメンバー達を待っていたのは、色の抜けた、モノクロ色で統一された雷門中の校庭だった。
自分達が良く知る学校も、グラウンドも、空も、見る物全てが生気の無いモノクロ色で染め上げられている。そもそもサッカー棟から出て雷門中の校庭に直接繋がっていると言う事自体、おかしな話だ。
今まで様々な出来事に出会ってきた雷門メンバーも、世界から色が消えるだなんて摩訶不思議な体験はした事が無く、目の前に広がる異様な世界にただ唖然とした表情を浮かべる事しか出来ないでいる。
「どうなっているんだ……」
困惑した様子で呟いた神童がある事に気付いた。
今、自分達はなぜだか知らないが校舎前の校庭にいる。そのハズなのに
――どうして、誰もいないんだ……?
この時間帯はいつも、部活動に勤しむ雷門中の生徒達で賑わっている。
それ以前にこんな出来事が起こっているのに、騒ぎが起こっていない所か誰一人としてここにいないなんて……
「一体、どう言う事だ……」
「アステリ! これってまさか……」
未だ状況を飲みこめないメンバーをしり目に、天馬は状況を知り得るだろうアステリに尋ねる。
すると、アステリが青ざめた顔で目の前の……グラウンドの中心を見ている事に気が付いた。
「? アステ……」
「天馬、アレ!」
「!」
突然声を上げたフェイにつられ、天馬は二人の視線の先にあるグラウンドを見た。
色が抜け、暗い灰色に染まった芝生のグラウンドの中心。
そこに『ソイツ』はいた。
「おやおや……皆様、お揃いで……。これはお迎えにあがる手間が省けましたねぇ」
獣の耳の様にハネ上がった髪。
体に比べ巨大な頭部に比例するように見開かれた、大きな単眼。
黒一色に染め上げられたその異形の姿は、ソイツが"人間では無い何か"である事を嫌でもその場の全員の脳に焼き付けた。
「やっぱり、お前の仕業か……スキア」
再度現れた敵を前に目を鋭く光らせ、アステリはそう言葉を吐き捨てた。
怒気を含んだその言葉に、目の前の異形__スキアは目を細め、嘲るように笑って見せる。
「嫌ですよ、アステリさん。言ったではありませんか……『近々、お会いする機会がある』と……」
瞬間、スキアの背後に10人の男女が姿を現す。現れた男女は全員人間の形を成してはいるが、目や口等、顔を形
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