理論と発想
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を袋に詰めていた穂乃果が叫び出す。彼女を海未や絵里が宥めるが、皆彼女の気持ちはよくわかる。惜しかったからこそ悔しい気持ちも大きいのだ。
「ほら、騒いでないで帰るぞ。忘れ物はしないように」
整備や掃除を済ませた後、相手にお礼と別れの挨拶を告げて学校をあとにする。そのバスは皆疲れきっていたようで、非常に静かだった。
「ねぇ、海未ちゃん」
「どうしました?穂乃果」
ウトウトし始めていた幼馴染みを起こすと、彼女は試合中に思っていたことを話し始めた。
「私、剛さんってすごい人なんだって今日の試合で実感した。海未ちゃんもそう思わなかった」
「そうですね。私も剛さんは素晴らしい指導者だと思います」
わずか一ヶ月でチームをここまでに仕上げ、試合中でもそれぞれに的確なアドバイスを与える。だからこそ、彼女の中でこんな考えが浮かぶのだ。
「私、剛さんが高校時代どんな野球をやってたのか、知りたい」
「え?」
「だってそう思わない?選手でも“史上最高”って呼ばれて、今は私たちを全国に送り出してくれようとしてる。そんな人がどんなプレーをしてたのか、海未ちゃんだって気になるでしょ?」
「それは・・・まぁ・・・」
気にはなるが参考になるところがあるのか、そう思い歯切れの悪い返事をした彼女だったが、彼女は穂乃果に言われたら断れない性分なのである。
「よーし、じゃあ今度色々調べてみよ!!もちろん、にこちゃんたちにも協力してもらって」
剛のことを元々知っていた花陽やにこ、野球を以前からやっていた絵里や希。他にも剛に憧れてバッティングセンターに通っていた真姫やこの試合で長所を活かせる役割を見つけたことりや凛。全員で剛の歩んできた道のりを調べようと意気込む穂乃果。
彼女はそう決心すると、学校までの時間、深い眠りについたのであった。
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