非常識野球
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
と落ち込む凛を励ます花陽。それを穂乃果やことりも励ましていると、グラウンドから快音が響き渡る。
ライトスタンドに突き刺さる弾丸ライナー。それを放った少女は得意気な表情でベースを一周していた。
「わっ!!すごいよ真姫ちゃん!!」
「あれがホームラン!?」
「生で初めて見たニャ!!」
それをきっかけに大盛り上がりのベンチ。あまりに見事な当たりに剛も拍手を送る。
そしてベンチに戻ってきた少女を、全員が手荒く迎え入れていた。
「よくやったわ!!真姫!!」
「ナイバッチやね」
「さすが真姫ちゃん!!」
「ビックリしちゃいました!!」
大興奮の仲間たちを見た少女は髪の毛をクルクルといじりながらドヤ顔を浮かばせていた。
「ま、当然よね」
インコースに狙いを定めてのフルスイング。打撃専門とも言える彼女に取っても、会心の当たりだったのだろう。
続くと海未と絵里が四球で出塁したものの、希が外に逃げていくスライダーを空振り三振。3対2で四回へと入っていく。
四回からマウンドに登ったチーム一小柄な少女。彼女は球威はないものの、変化の大きなカーブと抜群の制球力で四回、五回を三人ずつで打ち取る。だが、六回に掴まった。
カキーンッ カキーンッ
コースは決して甘くない。しかし、如何せん球種がカーブしかない。さすがは全国の上位に進出するチームだけあり、そのカーブだけに狙いを絞ると瞬く間に捉え始めた。
右打者は体からストライクに入ってくるボールを引っ張り、左打者は逆らわずに流す。結果、長短打を集中され三点を失った。
「や〜ん、打たれちゃったニコ」
「そのわりに応えてないわね」
「にこっちらしいね」
全然落ち込んでいない少女の姿を見て逆に落ち込んでいたチームに笑顔が見られた。ただ、打線は敵の二番手投手を捉えられずに2対6で終盤に突入する。
「花陽、穂乃果」
「「??」」
六回も無得点に終わり守備に着く音ノ木坂学院。その際バッテリーを剛は呼び止めると、二人に耳打ちする。
「ここからの配球は俺がする。穂乃果、花陽の配球の感じを覚えろ」
「わかりました」
「お願いします!!」
一試合目の大量失点は守備のミスも多かったが、何よりも花陽を生かした投球をさせられなかった。ポジティブシンキングの穂乃果に引っ込み思案の花陽を引っ張らせたかったが、そもそもの“土台”ないので、まずはそこから教えなければいけないと剛は考えた。
「さて、ここからが重要だな」
このチームの全員が正式なポジションに着いての初めての守備。今後のチームの命運を占うのは、言うまでもなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ