第一章 ハジマリ
第25話 VSザ・デッド――攻撃
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荒げた声を元に戻しながら、アステリは問いかける。
「アナタには、彼等の仲間として一緒に行動する資格が無い……と言う意味ですよ」
「……資……格……?」
スキアの口から発せられた言葉にアステリの思考は一瞬停止したが、すぐさま動き出し、スキアの言葉の真理を探った。
――突然、何を言い出すんだ……コイツは……
確かに、自分は彼等と知り合って日が浅いし、種族も違えば生きてきた世界すら違う。
齢十三程の幼い彼等に世界の危機をどうにかしてほしいと頼むのも、お門違いな事を薄々気付いてはいた。
世界を護る……そんな大義名分を彼等に背負わせた、そう言う身勝手な部分では確かに自分は彼等の"仲間"としてはふさわしく無いのかもしれない。
「確かに……」
「……!」
「キミが言う様に……ボクは彼等の大切なモノに対する思いを利用している…………かも知れない……」
――だけど……
「けど、どんなに言われようとボクはこの……色のついた世界を護りたい……この世界はボクにとって夢であり大切な宝物なんだ。……だから、ボクはお前達なんかには絶対に負けない…………あの世界にも、帰るつもりはない」
「…………」
そう強く言い放つとアステリは踵を返し、スキアを追いて自らのポジションへ向かい駆けていった。
「……何かあった……?」
ポジションに戻って来たアステリに対し、訝しげな態度で尋ねるフェイ。
そんな彼に「なんでも無いよ」と一言返し笑いかけると、アステリはすぐさま視線を目の前のフィールドへ向けた。
「…………スキア、どうした」
視点は少し変わり、ザ・デッド陣内。
ポジションへ戻ってきたスキアの態度に、ザ・デッドFWのマッドネスが声をかけた。
全体白塗りの仮面そのモノの様な彼の顔を一瞥すると、「いえ」と組んでいた腕を解き囁いた。
「なんでもありませんよ」
そう、感情のこもって無さそうな営業スマイルにマッドネスは呆れた様な溜め息を吐くと、影の世界をぐるりと見渡し、フェイ達に聞こえぬ様、小さく囁いた。
「…………そろそろ、危ねぇみてーだけど……」
「大丈夫ですよ、時間にはちゃんと間に合わせますから……」
「チッ……」
少しイラ立った様なマッドネスの舌打ちにスキアは一瞬ムッと眉を顰めたが、すぐさま冷静さを取り戻しいつもの様な穏やかな口調で言葉を発する。
「楽しい試合をしたいのなら…………私の言った様に……お願いしますよ」
「あぁ…………分かってるよ」
甲高い、試合再開の音が鳴り響いた。
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