第3章 リーザス陥落
第100話 救出
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次に声が聞こえてきたのは、マリスだった。
「あ、コラ馬鹿かなみ! リアもマリスもオレ様が格好良く助けると言っただろうが!」
「そんなの待ってられる筈ないじゃない!! リア様!! 救出が遅れ、申し訳ありません! ただいま到着しました!」
「あーん、早くおろして― 2人ともーーっ!」
「了解いたしました」
マリスが手早く、拘束具を一気に解除していった。忍者顔負けの速度で。
リアを完全に自由にした所で、マリスはかなみに向き直る。
「かなみ。待っていましたよ。……よく、戻ってきてくれました」
「あっ…… は、はい。マリス様も本当に……申し訳、ありませんでした……っ」
かなみは ……必死だった。
そして、この日をずっと夢見てきた。
何度も挫けそうになって、その都度 皆に、……ユーリに支えられてここまで来る事が出来た。感慨極まったからだろう。かなみの目から一筋の涙が流れ落ちていた。
『涙はまだ、取っておこう』
それは 憧れの人であり大切な恩人であり、……初めて好きになった人であるユーリ。
ユーリと約束した。涙は 最後に 全部を取り戻した時に取っておこうと、約束してた筈だったけれど、涙が流れ出てきてしまう。
そんなかなみの肩に優しく触れるマリス。
実に感動とも言える空気なのだが……。
「がはははははは、凡人なら兎も角、オレ様なら楽勝だ。この程度!」
「きゃーさっすがダーリンっ! すごいんだー!」
「ぐぎぎぎぎぎ………、こんな、こんなバカな………!」
外野が非常にうるさいので台無しになってしまっているのは仕方ない。リアがいる以上は マリスもかなみも基本的に忠誠を誓っている為、この程度で咎める様な事はしない。かつて、ユーリとの約束もあり 一国の王女として道を踏み外さない様に 傍で仕えて 見続けているのも嘘じゃない。
「かなみ。……ユーリさんの助力を?」
「あ……っ は、はい。ユーリさんのおかげです。……私は、私だけじゃここまで来る事は不可能だったでしょう。……リア様を、マリス様を救う事が叶わず、命を落としていたと思います。……あの人が、助けてくれたから……」
また 涙が流れ出そうになるのを懸命に堪え、目頭を擦るかなみ。
「そう、ですか。……ふふ 私達はまた あの御人に救われましたね。成長出来てない事を恥ずべきか、或いは……」
マリスは かなみを見てにっこりと笑うと。
「白馬の王子様に助けてもらえた幸福を堪能すべきか、かなみはどうでしょう?」
「ふぇっ!? え、えと その!! で、でもっ ゆーりさんに、ご迷惑ばかりわっっ!」
「ふふ、冗談です」
マリスは 面白おかしそうに笑っていた。
こんなに笑えたのは随分と久しぶりに感じ
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