第67話<まつりごと>(改2)
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女がニコニコしてカメラを抱えて提案する。
私はとても良い顔をしている彼女に言った。
「それ採用だな」
さっそく日向や祥高さんが声をかけてベンチを中心に皆で並び始める。
位置的には私と祥高さんが真ん中に並んでび、そこから大きい順……戦艦、空母、巡洋艦と並ぶ。
夜祭りで浴衣だ。細かいことはあまり気にしないでサッと並んでおこう。
そのとき五月雨が仲良くなったという子供の母親らしき人が迎えに来た。私は気にも止めなかったが北上がすごい勢いで私の袖を引っ張るので驚いた。
「司令ってば」
「……何だよ北上、腕がちぎれる」
そこまで言った私も振り返って絶句した。いや私だけではない。その場に居た艦娘たち全員が凍りついた。
「コノ子ガ、世話にナったな」
そう話しかけてきた「母親」らしき人物は……浴衣を着てはいるが深海棲艦(大井・仮)じゃないか!
彼女は小さい子供を抱き上げると、そのまま立ち去ろうとしている。全員ただ呆気に取られるばかり。
だが私は敢えて彼女に声をかけた。
「ちょっと、待ってくれ」
ビクッとしたように立ち止まった彼女。何かを警戒するように、ゆっくりと振り返った。
「ナニカ?」
私は努めて明るく言った。
「安心しろ。お祭りだし今日は敢えてお前と争うつもりは無い。それに……その子もイイ子じゃないか?」
暗くて表情は判り辛いが彼女は少し警戒心が解けたように見えた。
「ソウダ。イイ子だろう」
よほど嬉しかったのだろうか? 意外に笑っているように感じた。
その雰囲気は普通の人間……いや艦娘とも何ら変わらないように見えるから不思議だ。
急に北上がカットイン。
「お前、大井っち……なのか?」
「……」
その言葉に一瞬、緊張感が走った。彼女は黙っていた。
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