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異世界に転生したら、強くてニューゲームでした。(編集中)
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うとして、出したはずなのだが、僕は自分が彼を何と呼んだのか聞き取れなかった。思い出せない。
『変わったこと?』
◯◯は、僕の顔を見て嗤った。反射的に、目を逸らす。逸らした視線の先で、女の子のグループが大きく口を開けて笑っていた。彼の嗤い声とは違い、僕の耳には届かない。
『そんなこと、開が一番よく分かっているだろ?』
『……………………………………』
答えられない。僕が黙り、顔を俯けたのを一瞥し、話を続ける。
『開が亡くなった後、俺はずっとお前を見ていたんだ。転生した後、ずっと』
その言葉で、顔を上げる。◯◯の顔には、もう、およそ表情といえるものは無かった。只々、機械のように言葉を発すだけ。違う、慌てるな。これは、◯◯じゃない。本物が、転生した僕のことを知っているはずがないじゃないか。
『なぁ、開、お前。ずっと楽しそうだったよな。俺らが一緒にいたときより、ずっと。転生してから、俺のことなんか、一度も思い出してないだろ?』
反論しようとしたが、声が出ない。喉の奥で、ヒューっと掠れた音が出た。周りの風景は気づけば消え、広い、白い空間に僕ら2人は対峙している。
『俺は、ずっと辛かった。お前が死んだこともそうだけど、やっぱり一番は、お前があっちで楽しそうにしてたからだ。なぁ』
『お前、残された側のこと、考えたか?』
ヒュッと、喉が詰まった。
『お前の母さん。やつれたぞ。今じゃ、すっかり廃人状態だ。親父さんも、その状態のお前の母さんの世話しながら、会社通って…。全部、お前のせいだぞ』
そんなことが?いや、そんな訳ない。そもそも、これはニセモノなんだから。
『……でも、お前はここに来てくれた。ここには、誰もいない。なぁ、ずっとここに居たら良いよ。そんで、前みたいに話そうぜ』
いきなりの態度の急変に驚く。【前みたいに】。そのワードは、僕を強く惹きつける。ああ、でも、そうか。こいつの狙いは、僕をここに留まらせることなのか。
……それも、良いかもしれない。こんな僕が、あっちに戻ったって、誰も…。
そんな考えに流されかけ、ふと我にかえる。
いや、逃げちゃダメだ。今僕が戻らないと、2人が危ないかもしれないんだ。光魔法の使い手の半エルフは、少ないんだから。
「僕は、あっちに戻るよ。ここには残らない」
決意して口を開くと、もう喉は治っていた。ハッキリと、そう告げる。周りの景色に、また色がつき始めていた。
『何でだよ?ここにいた方が、絶対良いぞ?』
「そうかもしれない。でも、せっかく転生したんだ。今度は、しっかり生きないと、勿体無いじゃないか」
『その世界でも、何か起こるかもしれない。……気付いているだろ?』
何が、と聞こうとしたが止めた。
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