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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十三話 少女たちの挑戦
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力を上げていく。

「お姉ちゃん」

「何?」

「こんな時だけど、アタシ、凄く嬉しい」

「……黒鐘の力になれるから?」

「うん」

「奇遇ね。 私も」

 二人の戦う目的は、黒鐘達とは違っていた。

 ジュエルシードの問題や、フェイト・テスタロッサやイル・スフォルトゥーナ達の妨害、ジュエルシードが及ぼす地球への影響。

 地球に暮らしているとはいえ、正直そんなことはどうでもいいのだ。

 管理局に任せればすぐに解決するはずの問題だった。

 しかしその問題に小伊坂 黒鐘が介入したことで考えが変わった。

 二人は黒鐘に救われた側だった。

 才能がないこと。

 劣等感を抱くこと。

 短い間とはいえ、一緒にいてくれる時間をくれた。 

 当たり前のことかもしれない。

 黒鐘が関わらなかったとしても、他の誰かが二人の物語に介入していたかもしれない。

 だが、だけど、そんなタラレバのことはどうでもよくて、二人にとっては小伊坂 黒鐘に救われた事実が重要だった。

 なぜなら二人は、その短い時間で幼いながらも恋をしたから。

 好きと思った。

 救ってくれた相手を、心の底から好きになった。
 
 だから、そんな彼が戦う場所に踏み込むことに躊躇いはなかった。

 救われた側だからこそ、今度は彼の側に立ちたかった。

 それが今、こうして叶った。

 ――――『みんな、頼んだ!』。

 彼は頼ってくれたのだ。

 無茶な願いだとは考えなかった。

 迷惑だなんて思わなかった。

 だって二人はずっと、その言葉を待っていたから。

 二人が五年間、その言葉を待ち望んでいたことを、きっと彼は知らない。

 当たり前のように口から発せられた言葉だろうけど、その一言で二人が救われたことを知らないだろう。

 怒りはない。

 むしろ今は、応えたいと思った。

 愛する人の望みを、願いを、叶えたいと思った。

 そのために全力を尽くそう。

「行きます!」・「行く!」

 二人の呼気は今まで以上に強く、それに応えるように魔力の密度も上昇していく。

「「円舞――――っ」」

 風と氷、二人の姉妹の二つの魔法は、息を合わせて同時に放つ。

風時雨(かざしぐれ)!」・「雪時雨(ゆきしぐれ)!」

 無数に放たれた風の刃。

 無数の放たれた氷の突きの斬撃。

 それらはぶつかり合うことなく同じ空を駆け抜け、そして合わさろうとしていく。

 本来、二つの魔法を合わせるのは至難の業とされている。

 双方の魔力量に差があるとそれにかき消されてしまうからだ。

 互いに丁度いい魔力量の魔法にな
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