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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十三話 少女たちの挑戦
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全部解決させる前に、まずは目の前の問題を解決させる」

「……うん」

 そう。

 今の彼女たちはジュエルシードの奪い合いという大きな溝がある。

 敵同士で信頼し合えと言われてできるほど寛大な心は持ち合わせていない。

 それでも、目の前の敵を倒さなければいけないという事実だけは共通している。

 ならば、お互いを信頼しなくていい。

 敵同士のままでいい。

 目の前の敵を倒す者同士、それだけで十分一緒に戦う理由になる。

 だからフェイトも、そして雪鳴も、この時だけは肩を並べて戦おうと思った。

「フェイト」

「うん!」

 眼前から迫る竜巻の鞭に対し、二人は上下に分かれて回避する。

 無数の鞭が回避する二人を追うと、フェイトは水中に潜り、雪鳴は分厚い雲の奥まで跳んだ。

 すると上空に浮かんでいた分厚い雲は、重力を得たように大きな物体として落下を始めた。

 雪鳴の持つ凍結魔法が氷を集結、凝固、凍結させることで気体から液体、固体にまで変化させ、落下させた。

 勢いよく落下した雲の塊は全ての竜巻と衝突し、破壊する。

 同時に竜巻の内部から複数の爆発が発生し、竜巻の下部が爆散した。

 それはフェイトの雷魔法が持つ高熱が、海水と衝突したことによって発生した、水蒸気爆発が原因だった。

 竜巻は破壊された部分から修復を開始しようとするが、雪鳴による連続突きから広がる凍結魔法によって凍結し、氷の像として固まった。

 二人はすぐにその場から離れ、再び肩を並べる。

「お見事」

「そっちも」

 雪鳴の淡々とした称賛の言葉に、フェイトもそっけない返事をする。

 二人の表情に達成感や笑みは見受けられない。

 しかし二人は互いの役割を終え、後衛の魔法を察知してその場から離れる。


*****


 雪鳴とフェイトの攻撃によって動きを停止した竜巻だが、ものの数秒でそれは終わり、氷は砕けて竜巻は活動を再開する。

 それに対してユーノとアルフが露出したジュエルシードに対してプロテクションを張り、竜巻に包まれないための壁にした。

 竜巻はそれでもジュエルシードを強引に包み込もうと二人のプロテクションを押し込もうとする。

 しかしそれは時間稼ぎのため。

 本命の少女たちはすでに魔法の準備を始めていた。

「お姉ちゃん!」

「分かってる」

 移動した雪鳴は柚那の隣に立ち、その場で白姫を握った手を後ろに引き、突きの構えをとり、柚那は自身の周囲に高速回転をする円形魔法陣を複数展開させる。

 さらに両手に握られた風月輪の刃先に魔力を流し、刃の薄さと鋭さを上げる。
 
 二人の魔力は徐々に密度を増し、その威
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