14. 二人だけの夜(1)
[10/10]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
「……ゆきお」
「ん?」
もう一度、涙と共にゆきおの名を呼ぶ。そしてゆきおも、再び相槌を打った。いつもの、優しく、柔らかい笑顔と声で。
私の心のタガが、今、外れた。
私は、ゆきおの首に手を伸ばし、そしてゆきおの身体をギュッと抱きしめた。
「ゆきお……ゆきお……!!」
「……」
服越しに感じるゆきおの身体は、さっきまで恐怖に震えていた私の身体には、とても熱かった。それこそ暑さで汗が出てきそうなほど熱く、そしてふかふかと柔らかく、優しかった。私はその温かさに全身を委ねたくて、ゆきおの首に回した両腕を一度離し、そしてゆきおの胸に顔をうずめた。
「ゆきお……あたい……あたい……ッ!!」
「涼風……」
ゆきおは私の身体を抱きしめ、そして頭を優しくなでてくれた。その感触が誰よりも何よりも優しくて、私は全身が安堵に包まれていくことを感じた。
「怖くて……あたい、怖くて……」
「……」
「だからゆきおに会いたくて……でも、ここまで、すごく怖くて……ッ!!」
「そっか……」
そうしてしばらくの間、私はゆきおに身体を委ね、温めてもらった。その間中、ゆきおは何も言わず、ずっと私を包み込み、そして頭をずっとなでてくれていた。?
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ