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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第22話 獣の様な男
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 手に持った日傘をクルクルと回しながら、満面の笑みで自分達を見詰める存在の異形さに、目を丸くして驚くワンダバ。
 その隣で同じ様に目を見開き驚いていたフェイは、突然ハッとした様に瞳を瞬かせると、目の前の男――スキアの姿を見詰めながら、アステリに囁いた。

「あの姿……アイツもモノクロ世界の……」

 フェイの言葉にアステリは小さく頷くと、目を鋭く光らせ目の前の存在を凝視する。

「昨日の、カオス達と同じ……クロトに仕えるイレギュラーだよ……」
「あれが、例の……」

 アステリの言葉にワンダバはそう呟くと、珍しいモノでも見る様な表情で宙に浮き続けるスキアの姿をまじまじと見続ける。
 そんなワンダバを一瞥する、スキア。
 小さく開かれた単眼から発せられた眼光が、なんとも言えない不気味さを醸し出していてワンダバは視線を逸らした。

「…………お久しぶりですね。アステリさん」
「スキア……ッ」

 眉を顰め、そう吐き捨てる様にアステリが呟く。
 彼の強張った表情に「そんなに警戒しないでください」と、スキアは笑顔を向け続ける。

「ずいぶん捜しましたよ。まさか、こんな所まで来ていたなんて。クロト様も心配されておりました。さぁ、私と共に元の世界へ帰りましょう」
「断る。ボクはまだ、ここでやるべき事がある。それを成し遂げるまでは、あの世界に帰る訳には行かない」
「……"やるべき事"とは、クロト様の野望を壊す為のお仲間捜しの事でしょうか……?」

 スキアの言葉にアステリは「あぁ」と低めの声で頷いた。
 アステリのそんな反応に、スキアは眉を顰め「それは困りましたね」と首を傾かせる。

「クロト様からの命令で、私はアナタを連れ戻しに来ました。アナタをここに残し、手ぶらのまま帰る訳には行きません」
「そんなの知らないよ。なんと言われようが、ボクは帰れない」

 スキアは心底困った様に浅いため息を吐くと、「わかりませんね」と腕を組み、呟いた。

「何故、そこまでしてクロト様に歯向かおうとするのですか? クロト様はアナタにとって生みの親にあたる存在です。……親の望み、それに応えるのが子供である我々の役目でしょうに」

「そんな事は関係無い! アイツは、自分の欲望の為に様々な人達の色を……心を奪おうとしてる! ボクは、それが許せないだけだ!」

 作り物の様な不気味な笑顔を浮かべ続けるスキアに向け、強く、真っすぐにアステリは言い放つ。
 そんなアステリの迫力に押されたのか、スキアは先程よりも難しそうな……困った様な表情を浮かべ、「うーん」と何かを考え始めた。

「弱りましたねぇ……反抗期ですか? クロト様が聞いたら悲しみますね、きっと。まぁ、それも親の宿命と言えばそうですが……」
「さっきから聞いてたけ
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