暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第37話 『ご存知なので』
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シグナムを見た。
「どうかしましたか?」
「……先ほどのヘリの砲撃回避をみて、もしや、と思ったんですが」
「はい」
「そちらに、えーと……」
うろ覚えなのかシャッハは眉を寄せ、少し考え込む。
「コタ……コト……コトローさん? という、人がいませんか?」
「……はぁ」
頭の中でシグナムは検索をかけて即座には出てこなかったが、砲撃回避で気がついた。
「コタロウ、ですか?」
「あ、そうです! コタローさんです!」
はじけたというにシャッハは声を大きくする。シグナムに一歩近づき、
「その人は、なんていうか寝ぼけ目で、勘違いされそうな……あと、傘をぶら下げている……」
まだ、歯切れが悪そうであるが、特徴からまず間違いがなかった。
「コタロウ・カギネ三等陸士で間違いないと思います」
「局員だったんですね……」
「それが、どうかしたんですか?」
「いや、あの、実は一年ほど前に」
――『強盗だー! あいつ、大事な売り上げを!』
――『この聖王教会本部のあるベルカ自治領で、不届きな。ヴィンデルシャフト!」
――『……あの、ナイフとお金、全部拾いきれて……行っちゃった』
――『見つけた! この地で不届きは許しません! 現行犯で――』
――『あの! その人、ぶつかっただけで、関係な――』
「……なんとか寸止めで事なきを得たんですが」
「はぁ」
「ほ、本当ですよ! 誓って当てては!」
彼女はぽりぽりと頬を頬をかき、そして必死に弁明する。
「それはわかりましたが、それでコタロウは……」
それからどうしたんですか? というようにシグナムはシャッハに訊ねる。
――『え、違う……?』
――『はい! そちらの方はたまたまそこでぶつかっただけで』
――『そうだったんですか。てっきり……あの、すみません!』
――『先ほどの方は強盗だったんですね。それより、よろしければその武器をおさめ――』
――『遅れました! シスター・シャッハ、強盗は』
――『そいつですね! 直ちに連行します!』
――『え、いやあの』
――『貴女の寸止め、お見事です』
――『不殺の精神は我々も見習わなくてはなりませんね。ほら、来るんだ』
――『その、違……というか、あなたも否定を』
――『私は強盗ではありません』
――『犯罪者はみんな始めはそういうんだ』
――『そういうのは向こうで聞くから』
――『……なるほど』
――『え、なるほどじゃ――』
「あの時は、あれよあれよという間に話が進んで……それで、見送ってしばらくしてから我に返り……」
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