先輩禁止
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出す花陽。選手が九人揃ってから、花陽だけは天王寺の指示により別メニューを行っている。長期に渡り孤独な戦いをしている少女の背中は、以前よりも弱々しくなっているように見えた。
「花陽ちゃん大丈夫かな?」
エースとして期待されている花陽は基礎体力が低いこともあり、徹底的な体力強化としてあらゆるランメニューを課せられている。一応ケガをしない程度にと考慮されてはいるが、それでも辛いものは辛い。
「何言ってんの。あれくらい走ってもらわなきゃ困るわ!!」
「そうね。海未はともかく花陽は体力が足りなすぎるわ。大会までに連投できるところまでは持っていかないと」
野球好きであるにこと野球をずっとやって来た絵里は走ることの重要性がよくわかっている。近年ウエイトトレーニングの発達により走ることを疎かにしてしまうこともあるようだが、音ノ木坂のようにトレーニング器具がない学校は、走ることによって能力を向上させることも多い。
「二人とも、集合してくれ」
ジョギングで球場の外周を走っている二人を見ていると、彼女たちを呼び止めながらグラウンドに入ってくる者がいた。
「天王寺先生!!」
「お疲れ様です」
それはこのチームの顧問兼監督である天王寺剛。彼は少女たちの挨拶に返事をすると、全員にベンチ前に集まるように指示する。
「まずはみんなお疲れ様。いくつか連絡事項があるんだが、その前に・・・」
一度言葉を止め、全員の顔を見る。ちなみにマネージャー的役割のヒデコたちは給水用のジャグに飲み物を追加しに行っている。
「メンバーが揃ったところで、一つだけルールを決めたいと思う」
「ルールですか?」
何やら部活動っぽい言葉になぜかテンションが上がっている者もいるが、それを置いておいて話を進めることにする。
「上級生を呼ぶ時、先輩呼び禁止だ」
「「「「「えぇ!?」」」」」
いきなりのルール提示に唖然とする面々。だが、天王寺は全員がわかるようにそのルールの理由を話す。
「このルールを提示した一番の理由は、野球はチームスポーツだと言うことだ。ぶっちゃけこのチームは個の力じゃ到底勝ち上がれない。そうなるとチームワークが何よりも重要になるが、先輩呼びなんかしてたらなんか距離感じるだろ?」
「言われてみると・・・」
「だからもう少し近くなるような・・・さん付けとかでもいいから、とにかく学年ごとの距離感を縮められるような呼び方をしてほしい」
実際どの程度を許容範囲にするのかは穂乃果たちに任せることにした天王寺。だが、そこで一人がとんでもない発言をぶちこんできた。
「要するに仲良くなれればいいってことですよね?」
「まぁ、そうなる・・・かな?」
「だったら、どうせなら・・・」
名案が思い付いたようで、
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