第七章
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そのうえでだ。こうも言ったのだった。
「けれどね」
「そうなんだ。じゃあこれからは」
「そう。食べて」
多くのことは言えなくてだ。こう返した理絵だった。
「そうしてね。私も作るから」
「夢みたいだよ」
「夢じゃないから」
そのことは違うとだ。理絵は言えた。このことは。
「本当にね」
「うん。僕ずっとね」
「そこから先は言わないで」
必死の顔だった。理絵もだ。言葉を何とか出す感じだった。
そしてその顔でだ。さらに言うのだった。
「もうね」
「じゃあ」
「宜しくね。あらためて」
理絵は徹の目をじっと見て言った。
「これからもね」
「僕もね」
徹は今にも空にあがっていくばかりだった。彼にとっては最高の結末であり最高のはじまりだった。彼が食べるそのクッキーも味も夢の様だった。
それから彼がいつもにこにことして理絵と一緒にいて彼女が作ったお菓子を食べるようになった。皆そんな彼をやれやれといった顔で見ている。
それは職員室でも同じでだ。伊倉先生は呆れた様な笑顔でこう桶谷先生に言った。
「ハッピーエンドですよね」
「そして素敵な恋愛小説のはじまりだね」
「そうですよね。それは」
「うん。ただね」
「井上君ですか」
「全く。自分から言うのが男なんだよ」
桶谷先生はいささかクラシックな考えを述べた。先生もやれやれといった顔になっている。
「言えないなんて。どうしたものかな、男として」
「あれっ、いつも言ってたんじゃ」
「言ってたかな」
「だって。いつも村中さんのこと見てたんですよ」
「それ自体がなんだ」
「あれだけ見て。周りもわかっているのなら」
それならばだというのだ。伊倉先生もだ。
「それならですよ」
「言っているのかな」
「はい、そう思いますけれど」
「ううん。確かに丸わかりだったけれどね」
それこそだ。丸わかりだったというのだ。
「けれどそれがなんだ」
「はい。告白だったんですよ」
「じゃあ村中はその告白を受けて」
「そうです。それでなんです」
「毎日の告白を受けて」
「そうです。熱い告白を受け入れたんですよ」
「一歩間違えればストーカーだったけれどね」
徹はそこまでいっていたというのだ。確かに毎日毎日違うクラスに来ていればそうも認識されかねない。
だがそれでもだというのだ。伊倉先生は。
「ですが。女の子としては」
「ああまで想われてると」
「普通は応えますよ」
そうだというのだ。
「そういうものですよ」
「そうなんだね」
「はい、そうです」
「成程ね。じゃああれかな」
「あれとは?」
「恋愛に必要なも
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