暁 〜小説投稿サイト〜
和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第一部 佐為編(桐嶋和ENDルート)
第03話 進化
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 囲碁AIを開発したIT企業に勤めていると言っても、僕はエンジニアではないし世界的な企業だから部署も違う。それでも彼女の願いを叶えるためありとあらゆる人脈(ネットワーキング)を駆使し奔走した。

 中国で囲碁AIによる若手棋士育成を計画していることを知り担当者に連絡した。コンピュータ囲碁大会の関係者にも会いに行った。中国のある囲碁AI開発者は最強の囲碁AIを超えたいと語った。日本のある囲碁AI研究者は囲碁AIがトッププロに勝ったことから研究としての囲碁AIは、強くするという目標から、対戦して楽しい、対戦してためになるという方向にシフトしていきたいと語った。

 彼女の望む環境を整えるためのスポンサーを探してビジネスとして纏めた。囲碁AIによる若手棋士育成は数年単位の計画なため彼女をテストに参加できるようにした。囲碁AIを開発したIT企業と契約し開発にも携わってもらうようにした。

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 最強の囲碁AIが魅せた「新手」は、トップ棋士たちにも「悪手」と映るほどの常識外れの斬新な手。

――人間では理解できない手が30手以内に出てくる。しかし、後にそれが良い場所になってくる不思議ね。まるでマジックのようだったの

 最強の囲碁AIはまずヒトから学んだ。過去の思索の結晶である棋譜を3000万局分読み込み、それを手本とした。
 しかし、その後は独学で自らを相手とした強化学習で鍛え上げ、たった一年余りで人智の及ばぬ領域に到達した。

 強くなるには強い相手と打つ。

 わかるが勝てない強さの囲碁AIと彼女は3カ月打ち続けた。

 開発資金と環境を得た囲碁AIは3か月後にはより強くなっていた。

 半年後には更に強く、そして1年後には、わからない強さへとーー

――私たちが永遠に変わらないと考えていた囲碁の真理が破壊されたわ

 彼女は自らの棋風を破壊するほど、AIとの対局し検討を続けた。

 AIが人間の常識を超えた新手を示す。ヒトがそれを辿って囲碁の真理を解き明かそうとする。

 苦闘の中で調子は落としたもの土壇場で彼女は念願の本因坊リーグ入りを果たす。

 その頃には囲碁AIの開発ラッシュの成果により、異なる囲碁AI同士の対局がインターネット上で行われるようになった。

 多くのプロ棋士が囲碁AIを研究に少しずつ活用し始めた頃、世界で最も囲碁AIとの対局を続けた彼女はインタビューに答えた。

――今は1日の起きている時間のうち八割を囲碁AI同士の棋譜を見るようになりました

 人間の棋譜を見る時間よりコンピュータの方が多い。

 人間と対局する時間よりもコンピュータの方が多い。

 そうして自らの感覚が以前とは明らかに変わったと感じ始
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