思い出したくない過去
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私はホテルで昔ある塔で奴隷のような扱いで働かされていた仲間達に連れて行かれ、今は一人独房の中にいる。
あの辛かった昔の仲間であるショウが、コツコツと向かってきた。
「“儀式”は明日の正午、それまでそこにいるんだ。」
──儀式…まさか、Rシステムを…!?
私は心の中で驚愕していた。
彼が止めたRシステムを、昔の仲間が作動させようとしている。
「しょうがないよね、姉さんはジェラールを裏切ったんだから、儀式の生け贄は姉さんに決まったんだよ」
「……………。」
「もう姉さんには会えなくなるね、でも"楽園"のためだ…」
私は思い出したくない記憶に震え始める。
二度と思い出しくない過去。
「震えてるね、生け贄になるのが怖い?ここがあの場所だから?それとも。」
ショウはわざと間を開け、ニヤッと笑ってから。
「また"兄さん"を失うのが怖い?」
その言葉に私の身体はピクッと動いた。
彼が自らのある物を犠牲にして守った物。
そのせいで彼がどれだけ苦しんできていたのかを、私は知っている。
──頼む、彼を巻き込まないでくれ。
私の願いが届くはずもなくショウは語り出した。
語られた事によって思い出す、あの時。
ショウの立案により、みんなで脱走を試みた。
だが兵士に見つかった時。
『そう簡単に逃げ出せると思ったのか、ガキ共!』
『一刻も早くRシステムを完成させなきゃならねぇのに!!』
『まあ待て、これ以上の建立の遅れはマズイ、本来なら全員懲罰房送りなんだが今回は1人とする、脱走立案者は誰だ?懲罰房はそいつにいってもらおう』
その時、私は皆を危険に晒したくなかった。
だから………
『わ、私が立案者です…私が皆に指揮を……』
『ほう。』
『何言ってるのさ、エルザ。』
『え…?』
私の横にいた彼から声がした。
『僕をかばわなくていいよ、僕が本当の立案者です。』
『めんどくせぇ事すんな、こいガキ。』
そう言って兵士は彼を懲罰房送りになった。
彼は私達の元に戻ってきたが、グッたりとした状態で兵士に戻されたため意識が無かった。
「あの時はごめんよ、立案者はオレだったのに兄さんがかばわなくれた。でも…怖くて言い出せなかった、本当…ズルいよね…………」
正直、今の私にとってそんなことはどうでもよかった。
私はショウにRシステムの危険さを問うが…ショウは昔のショウでは無かった。
──ショウには悪いが、もう私は嫌なんだ。
私はそう思いながら、脚でショウの顎に蹴り気絶させた。
その後、縛られている鎖と縄を切る。
ショウをこんな風にした奴に、私は怒りをあらわにし
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