第十七話「悪魔の子」
[9/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
徒は、戦闘とオペレーターとして再びDG細胞に戦いを挑んだ。次々に彼らは明沙とアムロを部屋に置いて、旅館から出ていく。
「……アムロを、頼んだわよ?」
最後に出ていくエルが、明沙へそう言い残した。
彼らがいなくなり、部屋は静まりかえる。残ったのは、明沙と精神を失ってしまったアムロの二人だけになった。その間にも、彼女はアムロに声をかけて気を取り戻すよう試みるが、彼には何の反応もない。
「アムロ……」
自分の声が彼に伝わらないことに、明沙の心は次第に痛みだした。お願いだからと、彼女は何度もアムロに声をかけ続けた。
しかし、今精神を失っているアムロには彼女の声など届くはずもない。
――アムロ……目を覚まして!
アムロの胸元へ顔をうずめて、今も泣きそうになる明沙であったが、彼の胸に顔を埋めるにつれ、次第に彼女の意識は遠のいていったのである。
旅館から飛び立った複数のMSは、一斉に紫のMAとの戦闘を交えた。しかし、いくら代表生で、アリーナでの戦いを得たとはいえ、やはり今回ばかりは手強かった。
「くそっ! なんて装甲だ!!」
上空から図太い閃光が放たれる。ゼータガンダムのメガビームランチャーがMAの蕾の装甲にあたるが、蕾はランチャーの攻撃を跳ね返し、突進を続けてくる。
「シツコイわねぇ!!」
ルーの蒼いゼータガンダムのウェーブライダーが急降下しつつ攻撃を加え、また連携してエルのマークUもビームライフルを撃ち続ける
各生徒たちは相手に隙を見せずに攻撃を加え続け、さらに攻撃の手を緩めはしなかった。また、相手の突進を各自ビームサーベルで切り払うなどでダメージを軽減しつつ、チーム戦と連携に極められた戦術で、個々の強すぎるISの代表候補生らとは違った戦いぶりを見せた。
「みんな! 下がれぇ!!」
ジュドーのダブルゼータはぎりぎりの至近距離から額のハイメガキャノンを放った。
狙いは確実で、この至近距離でもろに食らった蕾は、ハイメガキャノンのビームを存分に浴びせられることになる。
しかし……
「ウソだろ!? ジュドーのハイメガキャノンが通用しない!?」
隼人が叫んだ。そう、蕾はあの巨大なビームに機体ごと飲まれたというのに、受けたダメージなど何処にも見当たらなかった。
だが、そんな蕾にもやや反応があった。蕾は、攻撃が止み、呆然とする彼らの前で、その蕾を徐々に開きだした。
『敵MAから巨大なエネルギー反応を確認しました! 皆さん、注意してください!?』
外部より、リィナの無線が各機に届いた。
展開される蕾の隙間からこちらを除くようににらみつけるツインアイ、それは紛れもなくガンダムタイプのものである。いや……これは、ガンダムであった。
なぜなら、展開しきった蕾の奥に潜むその姿、それは蕾の根元から宙吊り状になってこちらを見つめる「ガンダム」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ