第十七話「悪魔の子」
[6/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で彩られた巨大な蕾である。蕾は、そのまま浮上しつつ待機していた。
「あれが目標か……?」
箒は紫の蕾を睨んだ。大きさからして自分たちのISよりも数倍巨大なスケールだろう。
彼女以外の三機は散開して蕾の気をそらすために攻撃を行った。
だが、蕾は至近距離からの実弾は通用せずに閉じた花弁が跳ね返すだけだ。
「皆さん! 離れてください!?」
距離を取ったセシリアは、スターライトを連続で放った。だが、蕾へのダメージはない。
「くぅ! これでも……」
ラウラも遠距離からシュヴァルツェア・レーゲンのレールカノンを撃ち続けるも、やはり効果はない。
「これなら!」
逆に凰が至近距離から龍咆による衝撃波を浴びせるも、蕾は浮上したままピクリとも動こうとはしない。
そのとき、蕾にある変化が起こった。真下を向いていた蕾の頭は彼女らの方向へ向きを変えると……
「!?」
刹那、凰は背後から蕾の突進に見舞われた。そのダメージは凄まじく、一撃によって戦闘不能に陥った。
「凰!」
ラウラが海へ落ちる凰へ叫んだ途端、いつの間合いか蕾が彼女の頭上から襲ってくる。
「うぐぅ……!」
先鋭部隊黒兎部隊の隊長である彼女がこうも一撃に撃墜された。さらにセシリアの真下からも蕾の突進が現れ、瞬く間に三機の専用機が撃墜されてしまったのだ。
「み、みんな……どうしたんだ!?」
最後に残った箒は、先ほどまで攻撃を行っていた仲間の姿が消えてしまったことに目を丸くした。
「くぅ……!」
こうしてはいられまいと、箒は機体の各部から装甲を展開してエネルギーを放出し、蕾に向かって突っ込んでいくのだが……
そのとき、上空で爆発が起こった。
旅館の指令室では、一瞬で候補生らの専用機が大破したことで、IS勢は騒然となった。
「ば、バカな……! 専用機がいとも簡単に!?」
千冬としても、この現実を受け止めたくなかっただろう。彼女からしてでも代表候補生は、生意気だが腕の立つ熟練のIS操縦者たちだ。しかし、それがこうも短時間で、それも敵に何のダメージを負わせることなく終わってしまったのだ。
「う……ウソでしょ!? 絶対ウソだよね!? なんでパープル蕾に束さんの作った紅椿がボコられるの!?」
束は苦し気に頭を抱えて混乱しながら叫んだ。
「落ち着け……とにかく、次の方法を考えるよりほかあるまい?」
混乱に陥る束を千冬が制止させるが、すでに束はヒステリックに陥っていた。
「織斑先生……やはり、マット先生たちに頼むしか……」
不安になる真耶に、対して千冬は平常を保っていた。
「いや……政府はこちらに任務を命じたんです。ここは何が何でも我々がやり遂げなくてはなりません」
「し、しかし……」
「そもそも、そのマット教員らの姿が先ほどから見当たりません。いったい、どこでなにをして
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ