第十七話「悪魔の子」
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ムロから伝わってくる感情を知って、すぐに落ち着いた表情に戻った。
「篠ノ之さんが……どうかしたの?」
「……ッ!!」
アムロの表情は一層に怖くなる。その感覚をさらに受けた明沙は、彼が何をしたいのかという行動が、薄々感じ取れた。
「アムロ……」
「ほっといてくれ!」
そのとき、二人の頭上の空を四機のISが通過した。そのうちの一機が、紅椿を纏う箒であったのだ。MSの教員が足止めされている隙に候補生たちはすでに出撃してしまったのだろう。
「アイツ……!?」
この場から走り出そうとしたアムロだったが、彼の片腕を明沙が抱き着いて引き留めたのだ。
「離せよ!?」
「ダメだよ! そんなことしたって、何になるの!?」
「僕の母さんやお前の父さんを殺した仇なんだぞ!?」
「だからって……暴力なんて、絶対にダメぇ!!」
「何でだよ……何でなんだよぉ!!」
暴れそうになるアムロの身体を、必死で抑える明沙。しかし、彼女はそんな彼を見ていくうちに、今まで心にとどめていた悲しみが、一気にあふれ出てきた。
「ダメだよぉ……これだけは、本当にダメなのぉ……!」
すすり泣く明沙と同様に、アムロもまた歯を食いしばりながら涙を流し始めた。
「あの子のお姉さんであって、あの子が殺したわけじゃないでしょ……?」
「知るかよ! あいつが……何食わぬ顔で束と話して、堂々とそいつの作った第四世代機を乗り回して! そんなの見ていて、我慢できるわけないじゃないか!?」
「だって……それでも、復讐なんてしたって意味ないよ……!」
「嫌だぁ!」
その叫びに続いて。次第に弱まるアムロの声が静かに明沙の耳へ響いてくる。
「……やだ。そんなの、いやだ……僕は……僕は……!」
「アムロ……」
「なら、かえせよ……かえしてくれよ……母さんを、僕の母さんを、いつも僕に微笑んでくれていた、僕の母さんを……」
「アムロ……!」
明沙は、そうやって訴え続けるアムロの声に、これ以上耐えることができずに彼の肩に顔をうずめて泣き出した。そんな泣きながらでも、彼女は静かに続ける。
「耐えるしかないの……そんなことしたってアムロのお母さんは喜ばないよ? こうして残された私たちは、死んでいった人たちの分までこの先も生き続けなくちゃいけないの……!」
「だからって……だからって! こんなこと、あっていいのかよぉ……!」
「でも、復讐なんてダメ! 絶対に……」
「……!」
アムロの膝はガクッとおち、そのまますすり泣いた。そんな彼を慰めるように、明沙は彼を後ろからそっと抱きしめるのであった。
*
時を同じくして、四機のISは謎のMAが潜伏しているという空域へ到達した。何せ、新型のISを一撃で倒したということから、そうとう侮れない相手でもある。
そして、前方に見えてきたのは不気味な紫
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