第十七話「悪魔の子」
[11/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ひたすら傷つく自分に嘆いていた。
「僕は何も悪くないのに……何で僕から大切なもの取るの?」
「アムロ……」
「嫌い……みんな、大嫌い!」
「……!」
途端に、彼女は泣きじゃくる少年の姿から、嘗ての自分の記憶が頭の中を過った。
そう、この光景は自分が幼いころに経験したものだ。
いつも虐めっ子に泣かされて公園で泣いている彼、それを毎度のように彼女が慰め、抱きしめる。だが、虐めが酷くなるにつれて彼女がどれほど慰めようとも、アムロの顔は変わらないままであった。
それを、またいつものこと、いつものことと、適当に、他人事のように反面受け止めている彼女がそこにいたからだ。そして、アムロの側についている彼女もまたいじめを受けるようになった。そして、ある日、公園でいつものように泣いてるアムロを前に、明沙は背を向けて逃げ出した。それ以降、彼女は二度とアムロのいる公園に来ることもなく、しばらくはアムロから距離を置いてしまった。
――あの時、本当に自分が、心から親身になって彼と接していたら……
――単なるお姉ちゃん気取りになって接していなければ……
――自分にもっと勇気があれば……
きっと、アムロは私と一緒に立ち直れたのかもしれないのに……
私は、これまでも単なる幼馴染という立場で、ただ彼女のふりをして、本当は「形」だけで、アムロと接していたのかもしれない。父が死んだことで、悲しむ私は、偶然アムロも母を亡くしたことに付け込んで、悲しみを分かち合えばいくらか楽になるかもそれないと、彼に泣きついていただけなのかもしれない。
あれ以来、今でも、私の本当の気持ちは心の奥底にしまい込んだままなのなら……
「ごめんね……」
と、彼女は両手を広げて少年の小さな体を包み込むように、しかし思い切り抱きしめた。
「ごめんね……アムロ?」
「私……あのとき、ただチヤホヤされたいだけで、アムロにお姉ちゃん気取りして、アムロのことを本気で考えなくて……お父さんが死んだときも、ただ気持ちを分かってくれる人がいれば楽になれるって……そうおもってアムロにまた調子よく近づいて、本当に、ごめんね? だから、せめてもの償いをさせて? あなたに、私の『生命』をアムロにあげる……」
「くそっ! なんて野郎だ!!」
MSの生徒たちは、どうにか戦闘区域を離脱することができ、近くの浜辺へとたどり着いた。
「みんな、大丈夫か?」
カミーユが周囲の状況を確認する。幸い大した怪我人はいなかった。
「俺たちはともかく、俺たちの機体はもう限界だ……」
と、ジュドー。彼の言う通り、周囲のMSは大方大破し、修復にも時間を要する。再び出撃することは不可能であろう。
「もう一度出撃することができないのか……!」一夏
「けど、あと少しでシャッフル同盟が来るはずらしい。あの人たちさえく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ