第十七話「悪魔の子」
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「父さん……?」
ホテルにて、僕は気まずくも父さんに問う。もちろん、あの束という人のことである。
「どうした?」
「束さんっていう人……父さんの知り合いなの?」
「……」
しかし、父さんはただただ黙ったままだった。しばらくの沈黙がこの一室に広がり、僕はさらに気まずさを感じた。言ってはいけないことを聞いてしまったのだろうか、僕はやはり答えなくていいって言おうとしたが、先に口を開けたのは父さんの方だった。
「……お前には、知られたくなかった。あのISの開発者が父さんのもと同僚だったことを」
「あ、IS!? あの人が!?」
「アムロ……知らんのか? 彼女が、篠ノ之束がISの生みの親だってことを」
「……!?」
どういうことだ? あの人がISの開発者だって!? 僕は知らなかった……
……いや、知らなかったんじゃない。自分自ら忘れたんだ。
――どうして?
実をいうと、白騎士事件以降の記憶は、母さんが死んだということ以外わからなくなった。
テレビで重要な人物が取り上げられていたというのだけは知っているも、それが誰なのかは覚えていなかった。
――いいや、違う……
僕が、その人物を忘れたんだ。僕の母さんを殺したあの人物のことを……
人を憎むのがとてもつらくて、いやになって、だから、忘れたんだ。その人のことを……
「……ッ!!」
急な頭痛に襲われ、僕はとっさに頭を抱えて苦しんだ。
「あ、アムロ!?」
父さんが慌てて駆け寄ってくる。しかし、僕は混乱と憤りで頭の中があふれ出して、どうにもならない。
「ぐぅ……!」
僕は、そのまま勢いよく部屋から出て疾走する。父さんの制止にも耳を傾けずに。
「ハロハロ! アムロ!!」
そのあとを転がりながらハロが後を追った。
*
宿にて
千冬は、ISの候補生やMSの代表生及び教員たちを集めさせると、一旦旅館へと連れ戻した。何やら緊急事態の様子で他の教員たちがドタバタしている。
気が付いたころには、旅館の一室が巨大な司令室に早変わりしており、薄暗い部屋で千冬はブリーフィングのモニターを見せた。
「今から二時間前、ハワイ沖上空で突如暴走してしまった第三世代のISシルバリオ・ゴスペル、通称「福音」が謎の巨大な機影に福音が襲われ、撃墜されたという。福音のパイロットは無事で済んだが、問題はこの巨大な機影だ……」
「……?」
それに、MS教員一同が反応する。第三世代の新型機を、それも暴走を起こしたISを、
襲うともなれば……
「これが、暴走した福音を襲った例の所属不明機の姿だ」
千冬が表示したその画像、不気味な紫に染まった蕾状の物体である。
「MA(モビルアーマ)!?」
フォルドが叫んだ。それも、襲うとなればかなりの重装備を施された圧倒的能力を持つ恐ろしい機体であろう。
「それ
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