第15話 後宮入り?
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ルゲン伯はどうしたらいいか判らなく成っていた。マチウスを謀殺以来エリザベートは生きる気力を失い、日々亡き伏せっているだけなのだから。今のままのエリザベートを陛下にお会いさせたら、どの様な事になるか判らないと混乱に拍車がかかっていた。
そのような思惑も関係なく、フリードリヒ4世の命令により、エリザベート・フォン・ハルテンブルグはエリザベート・フォン・アインツベルン侯爵夫人として後宮に館を与えられる事まで決まってしまった。
「宮内尚書、典礼尚書、アインツベルン侯爵夫人の為の支度を直ぐさま始めるのじゃ、良いな」
普段は仕事も余りしない二人が飛び上がるように返答を行った。
「「御意」」
その陛下の態度に意志の強さを感じたリヒテンラーデ侯は心の中で、エーリッヒ・フォン・ブラウンシュヴァイク公に詫びていた『済まぬ、儂でも陛下をお止めする事敵わん』と、そんなリヒテンラーデ侯の心も知らずにフリードリヒ4世は命じる。
「国務尚書、エリザベートの後宮入りは、7月までに致すように、ハルテンブルグ伯とよく相談する様に致せ」
「「御意」」
最早返答するしかない、リヒテンラーデ侯とハルテンブルグ伯であった。
リヒテンラーデ侯は計画の狂いをどうしようかと考え。
ハルテンブルグ伯はエリザベートをどう宥めるかを考えていた。
「そうじゃ、フォルゲン伯、そちの弟たち2人とマチウスに特別に子爵号を与えよう、判ったの」
つまり、陛下はエリザベートとマチウスの婚約自体を無かった事にせよとの、ご命令だと、此処は受けておくのが賢明であると考えたのである。
「ありがたき幸せにございます」
「よいよい」
こうして、フォルゲン伯爵4弟カール・マチウス・フォン・フォルゲンとハルテンブルグ伯爵妹エリザベート・フォン・ハルテンブルグの婚約自体が無かった事とされ、エリザベートは婚前未亡人と呼ばれなくなった、まさか陛下の寵姫と成るエリザベートを侮辱する訳にも行かずに貴族社会ではなかった事にされたのである。
ハルテンブルグ伯爵はこの日から3ヶ月近くエリザベートを説得し続け、結局貴族の義務だという論理でエリザベートを説き伏せて、後宮入りさせたのであった。この後ハルテンブルグ伯は直ぐに内務省警察総局長に昇進しているのは、エリザベートを説き伏せた褒美としてであったが、本人としては些か嫌な気分であったろう。彼は実力でそれ以上いける人間なのだから。
帝国暦482年7月1日 エリザベート・フォン・ハルテンブルグ
私、エリザベートは、愛する人カール・マチウス・フォン・フォルゲンの戦死後ズーッと泣きながら過ごしてきました。そんなある日、兄様であるハルテンブルグ伯が非常に思い詰めた顔で話があると言ってきた。
「兄様、いったい何の用ですか?」
兄は済ま
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