セフィリアを縛るもの
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周囲に衝撃が響き渡った。
この奥義を受けた者は肉片ひとつ残らずこの世から消滅する。セフィリアは自分の勝利を確信していた。
しかし、消滅したのは自身の愛刀「クライスト」の方だった。RXは滅界のスピードを見切り、一合目をリボルケインで受け止めた。その瞬間、無限ともいえる程のエネルギーが注ぎ込まれ、クライストは折れるでもなく消滅した。地上最強といわれるオリハルコンで作られた剣が、である。
セフィリアはその事実に理解が追いつかず、空となった自分の掌を茫然自失と見下ろしていた。
「クロノスを全否定する訳じゃない」
背後で背を向けているRXがセフィリアに語る。
「世界の平和を維持する事は素晴らしい。だがその為に暗殺など、人の命を奪うという安易な手段に逃げて欲しくない」
「し、しかしそれが一番最善の場合もあるのです!」
我に返り、セフィリアは振り返ってRXに反論する。
「命を取る必要はない。捕らえるだけでもいいさ」
RXは変身を解いてセフィリアに向き合う。光太郎も、人間が全員善人だと言うつもりはない。中にはどうしようもない悪人もいるだろう。
だが仮面ライダーもいる。
「俺が悪人の手から弱き人々を守る! だから貴女たちは人の命を取る以外での平和維持を頼むよ!」
「しかし私は…この生き方しか知らないのです…」
「これから覚えていけばいいじゃねえか」
戦いが終わり、トレインたちが側までやってきていた。
「ハートネット…」
「俺だって殺し屋なんて生き方しか知らなかったけど、この生活も結構楽しいぜ? セフィ姐も探してみろよ。別にクロノスを抜けろとは言わないからよ」
「しかしクロノスの指令が…」
「光太郎の勧誘か? それなら光太郎にずっとついていけばいいんじゃねえか? クロノスに何か言われても『任務続行中です』とでも言っとけよ」
トレインのその提案を聞き、イヴがトレインのスネを蹴り上げた。勝負の意味がない、と怒っている。イヴとしては光太郎との2人旅に、目の前の気に入らない女性がついてくるのは嬉しくない。イヴは光太郎に「断って!」と無言の視線を向ける。光太郎もイヴのその視線に気づいたのか、微笑んで頷いた。やっぱり光太郎はトレインと違って優しい。「セフィリアさん、残念でした」と心の中で喜ぶイヴ。
「俺なら構わないよ」
しかし現実は残酷である。光太郎はイヴの気持ちをちっとも読みとっていなかった。
「こ、光太郎…!」
「分かってるよイヴ。セフィリアさんのためになるなら構わないって言うんだろ? イヴは優しいからな!」
「う、うぅ…」
光太郎はそうイヴに笑いかける。自分の言いたいことを理解してくれなかった寂しさ
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