殺された人々の痛みを知れ! 必殺のライダーパンチ!!
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一般常識も身につけて欲しい…」
俺は思わず肩を落とした。イヴは今まで抑圧された環境にあった。だからこそ自由に考え、自由に行動できている今の状態は俺自身が願ったものであるし、それを後悔することはない。
しかし一定以上のワガママは、保護者として咎めなければならない。
光太郎はイヴが持っていた本を取り上げ、それを机に置いた。急に目の前の文字が消えたイヴは悲しい表情になり、光太郎を見上げる。
「イヴ、俺はお前の願いはできる限り叶えたいと思っているよ。だけど人には時に我慢することも必要なんだ。自分の大切な人に嫌な思いをさせたくないだろ?」
イヴは静かに頷く。
「ありがとう、イヴ。大丈夫、今日は俺も大人しく休むことにするよ。だからこれを解いてくれるかい?」
光太郎は表面上は優しい笑顔を浮かべ、平静を装っていたが、そろそろ限界だった。
…トイレに行きたい。
しかしイヴは渋る。光太郎の言うことは分かってもらえているのだが、イヴにも何か考えがあるらしかった。
「…トレインとスヴェン、パートナーなんだよね?」
「そ、そうだよ」
「私も…光太郎のパートナーになりたいの」
イヴは真剣な表情で詰め寄ってきた。それとこの拘束を外すのを渋るとどう関係があるのだろうか。光太郎がそれを考えているとイヴは続けて爆弾発言を投下してきた。
「だから私と一緒にトイレに行って!」
「はぁ!?」
前後の会話の脈絡の無さに思わず素っ頓狂な声をあげる光太郎。イヴの相棒パートナーになりたいという願いと、トイレに一緒に行くことの繋がりは一体どこにあるというのだろうか。
そしてイヴは混乱する光太郎にその答えを出してくれた。
「トイレに一緒に行くと臭い仲になるんだよね? 臭い仲ってパートナーってことなんでしょ?」
光太郎は思わずズッコケそうになった。
その後イヴにその言葉の本来の意味を伝えることで、光太郎は1人でのリラックスルームを確保することができたのだった。「言葉って難しい」とイヴは独り言ちていた。
翌日、光太郎とイヴは身支度を済ませて宿を出た。宿の外は相変わらず人気がない。「決して離れないように」とイヴに伝え、とりあえず街を適当に歩くことにした。道中、光太郎は全神経を研ぎ澄ます。
しかし殺人鬼どころか住民ひとりとして遭遇することはなかった。
「光太郎、犯人見つからー」
イヴがそう言いかかったところを光太郎が自分の口元に人差し指をピッと突き立て、それ以上の言葉を防ぐ。どこで聞き耳を立てているのかも分からないのだ。イヴを決して傷付けさせない。その覚悟が光太郎を慎重にさせていた。
それから更に歩く。
そして足元に気付く
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