閑散とした街ルーベックシティー
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ように折れる感触は味わい深かった。涙を流しながらの悲鳴を聴くと、体がゾクゾクするようにそれが快感に変わる。
今日も遊びを堪能した犯罪者、ギャンザ=レジックは盛り上がった肉体を震わせながら下卑た笑みを浮かべる。
そしておもちゃの細い首を掴み、最後に一握りする。おもちゃはもう泣くことも叫ぶこともなかった。
ルーベックシティーの人通りの少ない場所では、殺人鬼に狙われるとして勧告されていた。ギャンザは既に何人もの女子供をその手にかけている。そして未だ逮捕されていない犯人のせいで、この街の住人は昼でも家に閉じこもってしまい、街は閑散としていた。無論、この街の市長も無抵抗でいた訳でもない。警官のパトロールを強化し、市民の安全を図った。しかしそれでも被害は収まらず、警官の死傷者も出始めた。その場に立ち会った警官によると、犯人の体は銃弾を弾き、力も強いため取り押えることもできないという。
「これ以上…犠牲者は出せんな。あいつに助けを求めるか…」
市長はそう決断した。
市長がそう行動していた頃、光太郎とイヴはこの街に辿り着いていた。しかし光太郎は人通りの無さに驚いている。店も殆ど閉まっているし、街全体の活気が全く感じられなかったのだ。
「ひと…いないね」
「そうだな。何か嫌な予感がする。そこの酒場で話を聞いてみるとしよう」
運良く酒場は開かれていた。2人は酒場に入り、マスターらしきヒゲを蓄えた老齢の男と目が合った。店内には客は誰もいない。
「コーヒー1つ、オレンジジュース1つ下さい」
「わたしはこうたろうとおなじのでいい」
「コーヒーだよ? イヴに飲めるかい?」
「へいきだよ」
「う〜ん、まぁいいか。コーヒー2つ下さい」
「あいよ」
マスターは手慣れた動きでコーヒーを淹れ始めた。
光太郎とイヴはカウンター席に腰を下ろす。
「マスター、この街っていつもこんなに人が少ないんですか?」
「あんたら、旅行者かい?」
「え、ええ。そうです」
「だったら、すぐにこの街を出るこったな。命が惜しくなきゃ話は別だがよ」
マスターはそう言ってコーヒーを光太郎とイヴの前に出した。光太郎は普通にコーヒーに口をつけて飲んでいるが、イヴは一口飲んで固まってしまっている。そんなイヴを見て、マスターは何も言わずオレンジジュースを出してくれた。
マスターの言葉に光太郎の表情が真剣なものとなる。
「教えてください。この街に何があるんですか?」
「…女子供を狙う殺人鬼がいやがるんだよ。この店の常連客の娘さんも被害に遭っている。いい子だったのによ…!」
眉をひそめ歯を食い縛るマスターを見て、光太郎は思わず悲しい表情になった。
「警官が束になっても捕まえ
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