閑散とした街ルーベックシティー
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たから汗臭いだろう?」
「………………った」
「え?」
「おいて…いかれたとおもった…」
イヴはそう言って抱きついてきた。そんなイヴを見て、光太郎は優しく頭を撫でてやった。
「俺がイヴをひとりぼっちにさせるもんか。ほら、手を離して。俺の目を見てみなよ」
「…ん」
2人は顔を見合わせる。
イヴの目は少し赤くなっていた。置いていかれたと思い、泣いてしまっていたのだろう。
「俺はイヴを不幸にしない、絶対だ! 約束するよ!」
光太郎はそう言って右手の小指を差し出した。
「なに…?」
「これは俺の国での約束の儀式みたいなものさ。ほら、イヴも右手を出して」
イヴは光太郎に言われるまま右手を差し出す。そして絡む小指。
「俺はイヴを置いていかない。不幸にしない。嘘ついたら針千本のーます、指切った!」
そうして離れる小指。
イヴは自分の小指をじっと見つめている。そして突然ハッと顔を上げた。
「はり…そんなにたくさんのんじゃうの?」
「嘘ついたらな!」
「…おなか…こわすよ…?」
「嘘をつかないから大丈夫だ!」
光太郎は爽やかな笑顔でそう言い切る。その笑顔にイヴも安心感を得たのか、ペタリと座り込んだ。そんなイヴに光太郎は微笑ましく頭を撫でてやる。
ふふ、やっぱりイヴは普通の子どもと変わりない。
親の代わりのような俺が少しいないだけで、こんなに寂しがっている。この子は今からでも普通の子として生きていけるんだ。そう思うと、とても嬉しくなってきた。子どもの幸せを願う親はこんな気持ちなのかな。
「それにしても、書置き残しておいたけど見なかったのかい?」
「…もじ…よめない…」
「…あ」
光太郎はうっかりしていた。トルネオの元ではまともな教育はされていなかったろうし、文字が読めないことは予め予想できたはずだ。このことは完全に光太郎の落ち度だった。
「ごめんよ、イヴ。今度から文字の勉強も一緒にしようか」
「…うん!」
嬉しそうに頷くイヴ。そんなイヴを見て安心した光太郎は、改めてシャワーを浴びようと準備をする。
「ごめんな、汗臭かっただろ? すぐにさっぱりしてくるよ」
「こうたろうのあせのにおい…きらいじゃないよ?」
「俺が気にするんだよ」
光太郎は苦笑してバスルームに飛び込んだ。
部屋に1人残ったイヴは自分の服のにおいを嗅いだ。先ほど抱きついた時についた光太郎のにおいが残っている。そのにおいを嗅いで、イヴはそっと目を閉じた。
「こうたろうのにおい…すき…」
男は更なる快楽を求め、女子供を手にかける。
この強靭な力で細い手足を掴み、少し力を込めるだけで簡単に小枝の
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