第66話<因縁の戦い>
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まったく気にしていない。
だが……私は自分の身体にまとわり付いている艦娘に声をかけた。
「山城さん、いい加減に、その手を離してくれないかなあ」
結構、強い力で握るから痛い。振り払うわけにも行かないし。
それに対抗しているのか知らないけど無言のまま反対側の日向も急に私の腕を掴んで来た。
(おい日向、お前のそれは確信犯的な対抗意識か?)
「あれ?」
私の声賭けを無視していた山城さん、さっきよりも力が入ってきたぞ。
(腕が……痛いって!)
花火の音や振動が次第に大きくなり大会が盛り上がる。それに合わせるようにして二人の艦娘の握力が次第に加速している。
(この期に及んで、いったいどうした? 二人とも!)
次第に油汗が出てきた。おまけに二人とも人目をはばからずに堂々と腕を掴んでいる。
もはや周りからの自然も単なるチラ見から次第に好奇の目に変わりつつある……見ると私の旧友もニタニタしている。
さすがに祥高さんも異変に気づいたのか呆れたような視線を向けてきた。
(いや、見てるだけじゃなくて、助けて下さいよ)
「バシっ」
フラッシュが光った。
「眩し! ……って、何撮っているんだぁ、青葉さん!」
さすがに叫んだ。
「えぇ? だって司令、これは紛れもないスクープでしょ?」
「違うって! ……それにフラッシュなんか焚いたら、もう余計に目立つじゃないか!」
彼女はニタニタするだけ。
「テイトクゥ、熱いネ!」
赤い浴衣の金剛も茶化す。
「これは、ち、違うぞ」
こんな事態になっているのに盛り上がる花火大会に乗じてか日向も山城さんも全然、手を離してくれない。
まさか酔ってるわけじゃないだろうに……いや雰囲気に酔ったともいえるか。
(あーあ)
もう諦めた。秘書艦が何も言わないんだから仕方ないか。
「航空戦艦、因縁の戦いじゃのぉ」
(何を、悟ったような解説を入れてんだよ、利根!)
「あら、まあ」
「司令も、ほどほどにね」
「……」
龍田さんと北上、そして祥高さんは呆れている。一部、笑っているが……仕方ない、これも任務と思うか。
「司令……大変ですね」
五月雨が呟いている。
(すまんな、五月雨。刺激が強すぎて)
寛代はニタニタしている。青葉の同類か?
だが私はふと五月雨の横に居る小さい子が目に付いた。小学生くらいなんだが妙に肌の色が白い……でも浴衣着ているし。近所の子供かな?
「五月雨、その子は?」
腕の痛みに耐えながら私は聞いた。
「さっき仲良くなりました」
五月雨は、その女の子を見ながらニコニコして答える。なんだか五月雨って保育士みたいだよな。
「ふーん」
その女の子は私と視線が合うと
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