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真田十勇士
巻ノ九十九 さらば都その八

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「余計にじゃ」
「豊臣家には行って欲しくない」
「左様ですな」
「それはですな」
「どうしても」
「うむ、後藤殿も真田殿もな」
 二人共というのだ。
「豊臣家には行って欲しくない、むしろな」
「幕府にですな」
「入ってもらいたいですな」
「後藤殿も真田殿も」
「左様ですな」
「そうじゃ」
 その通りだとだ、服部の返事は変わらなかった。
「わしは大御所様に既に後藤殿のことはお話している」
「左様でしたな」
「後藤殿が浪人になればですな」
「またそうなれば」
「その時は」
「幕府としても召し抱えるべきだとな」
 是非にというのだ。
「申し上げた、そして次はじゃ」
「真田殿ですか」
「あの方もですな」
「幕府としてですな」
「召し抱えるべきとですか」
「大御所様に申し出ますか」
「そうする、しかしな」
 ここでだ、服部は難しい顔になり言った。
「大御所様は真田殿だけはじゃ」
「どうしてもですな」
「召抱えられぬ」
「真田家の方ですから」
「徳川家は真田家に何度もしてやられてきた」
 服部はその徳川家に仕えている、それ故の言葉だった。
「三方ヶ原でも上田城でもな」
「常にですな」
「やられてきました」
「いくらで攻めても」
「そうでしたな」
「そうであった、だからな」
 それ故にというのだ。
「大御所様もじゃ」
「真田殿はですか」
「召し抱えられぬ」
「そうだというのですな」
「どうしても無理じゃ」
 家康の心境的にというのだ。
「そして真田殿もな、後藤殿はともかくな」
「幕府にはですか」
「つきませぬか」
「そうした方ですか」
「星の巡りじゃ」 
 ここで服部は空を見た、夜空に赤い星があった。それは十の星達を周りに置き天に大きく輝いていた。そして。
 もう一報に黄色くその赤い星よりも遥かに強く大きく輝く黄色い星があった、その星は様々な色の大小の星達が輝いていた。
 その星達を見てだ、服部は言った。
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