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真田十勇士
巻ノ九十九 さらば都その七

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「何の為に強くなられているか」
「そのことも気になりますな」
「まさか幕府と戦う」
「そうしたことも考えておられますか」
「そこまで」
「そうやも知れぬ、しかし九度山から出入りされていることはわかっても」
 それでもだった、服部そして彼のすぐ下で伊賀者達を束ねる十二神将達もそこまではわかるがというのだ。
「だがな」
「誰が何時何処に行っているか」
「どの道を使っているか」
「それまではですな」
「わかりませぬな」
「うむ」
 そうだというのだ。
「そこまではな」
「残念ですが」
「そこまでは、です」
「我等もわかりませぬ」
「どういった動きをしているのか」
「そこまでは」
「そうじゃ、真田の者達はそこまでは掴まさせぬ」
 服部は十二神将達に苦い顔で話した。
「それはな」
「厄介なことに」
「そこまでは、ですな」
「見られませぬな」
「我等ですら」
「そうじゃ、まことにじゃ」
 実に、というのだ。
「そこは見事じゃ」
「左様ですな」
「流石は真田殿と言うべきか」
「何時何処をどう行き来しているかまでは見せぬ」
「出入りだけはわかっても」
「それでもですな」
「わからぬ、しかし何か考えておられるには確か」
 出入りがあることからというのだ。
「やはりこのままじゃ」
「何かあればですな」
「それが見られれば」
「大御所様にお伝えする」
 家康、彼にというのだ。
「わかったな」
「はい、そうしましょう」
「是非共」
「必ず尻尾を掴みましょうぞ」
「真田殿のそれを」
「後藤殿も真田殿も豊臣家についてもらいたくない」
 服部は本音も述べた。
「この方々はな」
「ですな、どちらの方も」
「お強いですから」
「片や天下の豪傑片や天下の智将です」
「見事な方々ですから」
「余計にじゃ」
 服部は十二神将達にさらに言った。
「豊臣家に入るとな」
「それだけで、ですな」
「茶々様が勘違いされますな」
「力を得たと」
「天下人に相応しいと」
「うむ、そうじゃ」 
 だからだというのだ。
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