長所と短所の使い分け
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投手のようなコントロールを見せる小さな少女に感心せずにはいられない。しかし、脱帽している時間はない。バッテリーはすぐさま次の投球に入った。
(このコントロールで三番手なら、恐らく球種は多くない。ストレートにタイミングを合わせる!!)
セットポジションに切り替わったにこ。彼女は足を上げることなく、スライドさせるように前に踏み出す。
(クイック!!)
素早い投球フォームから投じられたのは先程とほとんど変わりのない普通のストレート。それにタイミングを合わせていた彼女はバットを振り抜く。
クッ
「!!」
だが、捉える瞬間、ストレートだと思われたボールが微妙に変化した。
ガキッ
「海未ちゃん!!」
「はい!!」
ボテボテの打球が三塁前に転がり、海未が冷静にそれを処理し一塁にスローイングし、アウトにした。
「やられたわ、まさかカットボールまで持ってるなんて」
「今のはストレートですよ、生徒会長」
決め球として使用された球種について感想を述べる絵里だったが、穂乃果の言葉に目を見開く。
「にこ先輩はセットポジションだとどうしても体重が乗せきれなくてボールがスライダーしてしまうんです。だからピッチャーにしにくいらしいですけど、今回はそれがうまくハマりました」
一昔前は振りかぶるよりセットポジションの方が球威が落ちると言われていたが、それは体重移動がうまくできないからと言われている。現在はそのイメージも払拭されつつあるが、にこのように体重を乗せきれない者ももちろん存在する。
「次!!海未!!頑張りなさいよ!!」
「はい!!任せてください」
一打席目を終えたことで海未がマウンドに上がる。変わったにこはセンターに行くと、花陽がサードに入った。
「引っかけてもうたね、絵里ち」
「えぇ。まさかナチュラルスライダーをあんな使い方するなんて・・・」
海未が投球練習をしている間、ベンチへと戻ってきた彼女に希が声をかける。
「ポジションを変えて来たってことは、あの子はにこっちみたいなタイプじゃないのかもしれんね」
大和撫子を思わせるような容姿の少女がマウンドから幼馴染みへと腕を振る。その姿は先程のにこよりも上体を傾かせ、腕を若干下ろして投げていた。
「サイドスローね。でも、スピードはかなり出てるわ」
「120kmくらいかな?女の子にしてはかなり速いね」
現在日本の女子野球での最速は126km。つまり今マウンドにいる投手は女子野球トップクラスのスピードボールを投じていることになる。
「でも問題ないわ。私はシニアの時、もっと速い投手といくらでも対戦してるんだから」
中学時代男子に交じって硬式野球をしていた絵里は、これよりも速い投手といくらでも対
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