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とある3年4組の卑怯者
10 土産
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 藤木は1人への土産渡しを完了させた。
 藤木は自分の席に戻り、リリィを待った。その時、永沢がまた声をかけた。
「藤木君、君はもしかしてリリィを待っているんじゃないのかい!?」
「え、いや、そんなことないよ!!」
 その時、リリィが学校に入ってきた。途中で合流したのか、まる子にたまえと一緒だった。
「あ、リリィ・・・」
「藤木君、おはよう、どうしたの?」
 リリィが挨拶と共に聞いてきた。
「あの、これ・・・、昨日デパートに行って買ってきたんだ。そしたらおまけに図書券も貰えてね」
 藤木はリリィに蛍光ペンと図書券を差し出した。
「私に?いいの?」
「もちろんさ・・・」
「ありがとう、是非使わせてもらうわね!」
 リリィは喜んでいた。藤木はリリィの笑顔をみて自分も嬉しく思えたのだった。
「藤木君・・・、君、プレゼントをあげたからっていい気になっているんじゃないのかい?」
「な、永沢君!」
「もしかしたら、しばらくしたらこのことを忘れて使ってもらえずに終わるかもしれないよ」
「そんなことないわよ!永沢君、その言い方ちょっとひどいわよ!」
 リリィが真剣な顔で永沢に言い返した。
「う・・・」
 永沢は何も言えなかった。
(リリィが僕を庇ってくれた・・・?)
 藤木は自分のことを庇ってくれたリリィに対して嬉しくもちょっと自分が情けないと感じた。

 下校時、藤木は誰かに声をかけられた。まる子だった。
「藤木、アンタ昨日文房具で買ったのは笹山さんとリリィへのプレゼントだったんだねえ」
「な、なんでさくらが知ってんだよ!?」
「だって二人から聞いたもん」
「そ、そうなんだ・・・」
「そしたらアンタのこと他の男子と違って気持ちがこもってるって言ってたよ」
「え、へえ〜」
 藤木は嬉しくなり、顔がどんどん赤くなった。
「あ、そうそう、笹山さんが気になってたよ。どうしてリリィが好きなのに私にあげたんだって」
「う・・・」
「まあ、難しいだろうけど、アンタもどちらにするかそろそろ決めたほうがいいよ」
 そういってまる子はさっさと行ってしまった。
(はあ、どっちも捨てきれないんだよな・・・)
 
 そして翌日、藤木は帰宅した時、ポストの中に自分宛の手紙が入っていた。
 みどりからだった。
 藤木は部屋に入り、封を切り、中を読んだ。すると、こう書いてあった。

 藤木さん

 先日はどうもありがとうございました。私は藤木さんとデパートでお買い物ができて、一緒にエアホッケーをして、さらに食事ができてとてもうれしかったです。また、私をいじめから助けていただいて藤木さんは私を大切にしてくださっているという事が理解できました。いつかまた、藤木さんと今度は遊園地とか博物館とか、旅行にでも行きたいと思います。
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