聖者の右腕W
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、人が十分に通れるスペースはできていた。
「脱出したら一旦マンションまで逃げるぞ。話はそれからだ。オッサンさんもそれでいいよな?」
「構いません」
「先輩、このビルもいつ倒壊するかわかりません。今は少しでも離れましょう」
「ああ」
古城、雪菜、オイスタッハの順に扉をくぐり特に何事もなく外へつながる職員用玄関にたどり着いて脱出できた。ようやく外に出たと思ったら反対側から銃撃音とコンクリートが砕けたり割れる音が響いてきた。
「さっきの怨霊??」
「もう上にいるのかよ!どんだけ俊敏なんだ?」
「眷獣に取り付くなど相当に強い怨霊だったのでしょう。それ故に生者を憎み、より多くの生者を殺そうとする。正面玄関側には特区警備隊が集まっていたのでしょうがそれが裏目に出てあれを呼び寄せてしまったようですね。彼らには申し訳ないですが、今はこの状況を利用させてもらいましょう」
「・・・ッ」
雪菜は歯痒かった。おそらく壊滅状態にあるだろう特区警備隊を助ける力はあるのに、何もできない自分を呪っていた。頭では自分は第四真祖の監視役でひと時でも目を離してはならないということを理解している。しかし感情がそれを許さない。
「姫柊・・・」
「私たちは・・・何もできないんですか?やろうと思えばできるのに、彼らを助けられるのに、できないんですか?」
「剣巫よ。あなたは身分が国家降魔官だからともかく、第四真祖の正体が世に露見するのはあなた達の望むところではないのでしょう」
「なら私だけでも!」
「それこそ第四真祖が放っておくとは思いませんが」
「・・・そうですよね。先輩はきっと、私を助けに来るでしょう?」
「そりゃあお前が危険な目にあってたら・・・」
「先輩。先輩は私を信じていますか?」
「信じるって・・・それはまあ信じてるっちゃあ信じてるけど」
「なら、大丈夫ですね」
「おい、姫柊お前!」
「先輩は私を信じているんでしょう?それなら大丈夫です」
それだけ言って雪菜は背中の雪霞狼を引き抜いて正面玄関側に身体能力向上の呪術を自身にかけて行ってしまった。古城もすぐさま後を追うがタイミング悪くビルの一部が古城と雪菜の間に落ちてきて古城の行く手を阻む。
「獅子の黄金!瓦礫を破壊しろ!間違っても周りに被害は出すなよ?」
獅子の黄金は一瞬困ったように鳴いてすぐに瓦礫に電撃を浴びせ、粉々にした。
「相変わらず加減を知らないな・・・!」
「あなたの眷獣でしょう、第四真祖?それにあの500億円被害の威力に比べればこの程度」
「ぐ」
痛いところを突かれてうめく古城。苦虫を噛み潰したような顔しかできない。
「きゃあっ??」
「のわっ??」
古城が前に向き直った瞬間、なんと雪菜が吹っ飛んできた。慌ててキャッチしよう
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