第五章 Over World
ここに、私がいるから
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に遊ぼうと誘いに来てくれたようだ。
「行こう?おねえちゃん」
手を繋ごうと、少女が手を差し伸べる。
唯子もそれを拒むことなく、手を取ってそちらに一歩踏み出して。
「・・・・・・」
振り返った。
無論、その先は崖がある。
そして少しの森林と、延々と広がっている荒野。最後には地平線。
不思議そうな顔を浮かべ、唯子を見上げる少女。
だが、唯子はその方向をじっと見つめている。
「どうしたの?」
「なにか・・・・来る気がするのよね・・・・」
「・・・・・」
唯子の言葉に、少女の顔が陰る。
気のせいだろうと思う唯子だが、それとは裏腹に、どうしても切り捨てられない。
「行こうよ・・・・向こうの方が楽しいよ・・・・」
その方向を見つめ、ボーっとしてしまう唯子。
ある種の忘我状態ともいえる唯子に、少女が声をかける。
それにハッとして、唯子は返事をするも
「え?あぁ・・・・うん・・・・」
どうにも心此処に在らずだ。
だが、いつまでもこうしていることは出来ない。
ブンブンと頭を振って、笑顔を作って少女に笑いかける。
「そろそろ秋だねぇ」
「落ち葉集めて、教会きれいにしようね!!」
「うんうん。そうだ!!そしたら、お芋焼いてみんなで食べようか!!」
「わぁ〜!おいしそう!!」
「ま、やっぱりジャガイモなんだけど・・・・・・」
・・・・・・・・・え?
―――――やっぱり?
自分で言った言葉に、違和感を感じる。
まるでこの村で芋と言えば、それしかないことをすでに知っているような。
おかしい。
私はまだこの村で芋と呼べる物を見ていないし聞いてもいない。
「お姉ちゃん・・・・」
「あ、あれ?・・・・おっかしいな・・・・なんだか・・・・」
繋いでいない方の手を、顔を覆うようにあてる。
その指は徐々に頭を締め付けるように
そう、まるで奥底にある情報を、絞り出すかのように力が込められていく。
「やめてよ・・・・」
「まって・・・・これ・・・あれ・・・・?」
混乱して行く唯子。
それを少女は止めるように言葉を発するも、それは言葉だけにとどめられる。
そして
「私・・・・二度目・・・・?」
小さくつぶやくその言葉。
それだけで、目の前の光景が歪んだ。
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「ここは!?」
「お姉ちゃん」
唯子
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