第五章 Over World
カケラ紡ぎ Tips2
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をガソリン以上に垂れ流していた。
マミもそれを知っている。
すでに両親は死んでいる。
二度と自分の前に笑顔を見せることはない。
だが、それ以上に
『誰か助けて・・・・・』
彼女自身の命が、危機に瀕していた。
救助隊はいずれ来るだろうが、それよりも彼女が限界を迎える方が圧倒的に早いだろう。
「くっ・・・・」
ほむらはその中を進み、マミに向かって手を伸ばしてみる。
だが、これはあくまでも見るだけのカケラだ。
ほむらの手は幽霊のようにすり抜け、何もできないことに拳が振るえた。
「この光景に・・・・何があるの・・・・?」
干渉することがなく、ただ眺め見るだけのカケラ。
いったい、これに何があるのか。
こんな惨状を見せられて、ほむらは憤りしかなかった。
周囲には炎が爆ぜる音と、鉄がそれで軋みを上げる音
そして、少女の助けを求める声だけがする。
そんな絶望の中
『大丈夫かい?』
願いをかなえる、自称魔法の使者が現れた。
『助けて・・・』
『ボクの名前はキュゥべえ!いきなりだけど、君に叶えたい願いはないかい?』
『助けて・・・・・』
『と言っても、今の君が願うことはわかりきっているけどね』
『助けて・・・・』
ただ助けてと呟く少女と、願いをかなえるというキュゥべえ。
それは、どんな願いもかなえてみせると言い、少女は魂の底から願う物を持っていた。
「これは・・・・・」
話には確かに聞いていた。
マミ曰く「悩む時間すら許されない」
だが、聞いた話と実際に見るのとでは、感じるものが全く違った。
親の死ですら気にならないほどの、自身の命の危機。
そんな絶望の中
君が助かる
命を助ける
願いをかなえる
そう囁かれて手を伸ばすなと、そう言われて拒絶できる十代になったばかりの少女がいるだろうか。
本能が「死にたくない」と叫び続け、死にかけの身体であるにもかかわらず、この地獄から抜けだそうともがくほどの状況で、それに抗える。
そんな少女がいるだろうか。
それは、よほどのことを経験した者でなければ無理に等しい。
そしてそのよほどのことを、彼女は今、経験しているのだ。
ほむらは、マミのことを今まで誤解していたのかもしれない。
確かに、すぐに誰かに縋ってしまうその心は、ほんの一突きで脆くなるかもしれない。
盲目的にキュゥべえを信頼するその姿勢に、うんざりもした。
だがこの状況を見て、そんな彼女を責められるものがいようか。
自らの命すら失われようとする惨劇の
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