第五章 Over World
カケラ紡ぎ Tips2
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らなければならない。
「う〜ん・・・・恭介は怪我に苦しむって言うよか、もうバイオリンが演奏できないってことが辛いみたいだったかな・・・・・」
「そう・・・・私もその人、会ってみたいわね」
「え、ええ!?ま、まさか好きに・・・・」
「話だけではそうはならないわ。でも、あってみたい気はするわね」
「むむ・・・・興味ありか・・・・あいつも隅に置けないねー!!」
あはは、と笑うさやか。
だが、ほむらはさらに踏み込まなければならない。
「あなたはそれでいいの?」
「いいのって・・・」
「だって、ずっと彼のことを見てきたんでしょう?彼のことを護って来たんでしょう?」
その痛みから
その辛さから
クラシックCDをプレゼントして、それを和らげよう
いつも楽しい話をして、演奏できない辛さを忘れさせてあげよう
私だってそうだった。
過酷な現実から守ろう
悲惨な未来を回避させよう
ただ私のは約束で、彼女のは献身的なものだ。
「そこまでして彼のことを護って、それで他の人にとられてもいいの?」
「ええっと・・・・」
そうして、さやかは想像してみた。
恭介がほかの女の子と歩いている。
自分を差し置いて、他の子と
「あ・・・あはは・・・・わたし、いま凄いヤなこと考えた」
「?」
「恨んじゃった、んだ」
それは嫉妬か。
だが、さやかは付け足すように言葉を続ける。
「でも、相手の子じゃなくて恭介に、だね」
「え?」
「お礼の一言ぐらい言いやがれー!!って。多分、一発くらいは殴っちゃうかも」
うん、と頷いて、言葉をもらうさやか。
それはあまりにも儚く見え、それでいて力強い言葉
「いやぁ、やるねぇ転校生。私気づいたわ」
「なにに?」
「私、今も言ったみたいに「あいつが演奏できない」のがかわいそうだったんだ」
その言葉に、まだ理解が及ばないほむら。
首をかしげるが、さやかの独白は続く。
「うん。私、あいつの演奏好きだった。それがもうだれの耳にも届かないのが嫌だった」
「・・・・・」
「私は、あいつが元気でバイオリン弾けたらそれでいい・・・・かな?」
「美樹さやか・・・・」
「私、誰かを助けたかったんだ。あいつの演奏、もう一度聞きたかっただけで・・・・あれ?」
ポロポロと、彼女の瞳から涙がこぼれる。
そうか
そうだったのか
ほむらは知る。
さやかは単純な恋慕で願いを叶えたのではなかった。
彼女は憐れんだのだ。
怪我に苦しむ彼にではなく
演奏できない彼にでは
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