第五章 Over World
もったいないと思わないかい?
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「まあそうすれば、その分の悲劇も希望も大きくなるしねぇ」
「そうさ。だから何を君がバカにしているのかわからないよ。そんなことが無駄になったからって、僕には全く、全然関係ないんだよ」
表面上には出てこない。
だが、キュゥべえの言葉は徐々に熱を帯びている。
否、そこまでの物ではない。
精々、語尾に少し力が籠められるくらいか。
「まったくだから訳が分からないと言っているんだ。僕たちの目的はもういっているはずなのにそれを勘違いしいて無駄だなんていうなんて、僕は君たちがいずれ宇宙に進出して僕たちの仲間入りをすると思っていたのだけれどこの様子じゃそれも無理みたいだね」
一気にまくし立てるキュゥべえ。
そのキュゥべえに、蒔風がにんまりと笑って首をかしげる。
「どうしたキュゥべえ?怒ってるのか?」
「・・・・・そんなわけないだろう。そんなもの、僕たちがもつはず、無い」
「そうか。じゃあ話を進めるぞキュゥべえ」
「え?」
「言ったろ?「すべて」無駄だと。そんなこともわからないで・・・・すべてなんていうわけないでしょっ」
訳が分からないとでもいうキュゥべえに、それだけ言って蒔風が空を指さす。
そして、最高に意地の悪い顔をして、からかう口調ではっきりと宣言した。
「宇宙、別にお前が言うような危機に瀕してねーから」
嗤いながら、震える声で。
それを抑えながら、蒔風ははっきりと言い放った。
「解ったか?俺が無駄だと言った理由」
「は?そんなはずはないよ。宇宙は確かに今もエネルギー問題を・・・・」
「いやぁ、それがそうでもないのよね。ほれ、これウチの優秀なメンバーが出してくれたんだけどね。通信繋げる?ほい」
蒔風が言うと、空中にモニターが現れ、そこに一人の少女が映り込んできた。
そこに映った少女、長門有希は、淡々とした口調で事実だけを告げた。
『宇宙全体のエネルギーは、確かに減り続けている。しかし、結合によってその総量は増加した。統合情報思念体も、そのことに危機を抱いてはいない』
言うだけ言って、通信は切れる。
だが、言われたことはただ一つ。
いま、彼らが行っている使命はすべて必要のないモノとなった。
「あー、ここに資料があるわけだけど、難しくて俺にはわからん。まあ勝手に見てくれや」
どこから取り出したのか、一冊の本のようにまとめられた資料をだし、ぽいと投げ捨てる蒔風。
クリップが外れ、バサバサとそれがキュゥべえの前に散る。
それは、確かにあの少女の言っていることを裏付ける内容だった。
「確かに、宇宙という物は膨張と縮小を繰り返している。今は膨張期だ
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